ステップワゴンとセレナ▲5ナンバーサイズミニバンの中でも特徴的なバックドアを備える5代目ホンダ ステップワゴンと5代目日産 セレナ

5代目ステップワゴン VS 5代目セレナ 気になる7つのポイントで比べてみた

横開きのバックドア「わくわくゲート」が印象的な5代目ホンダ ステップワゴンと、バックドアの窓部分を開閉できる「デュアルバックドア」が特徴的な5代目日産 セレナ。5ナンバーサイズミニバンの中でも他にはない機能を備えている。

子育て世帯をはじめ、多くの人に支持されている両車。その違いは、どこにあるのか? 購入時に気になる7つのポイントを比較してみた。ぜひ購入のヒントにしてほしい。
 

▼検索条件

ホンダ ステップワゴン(5代目)×全国

▼検索条件

日産 セレナ(5代目)×全国
 

【サイズ】ボディサイズよりも室内の広さに注目

ミニバンユーザーが最も優先したいのは「車内が広くて、使いやすい」こと。両車ともに5ナンバーサイズと扱いやすく、多彩なシートアレンジなど機能面もバッチリ。広さにおいても甲乙つけ難いが、維持においてはセレナの方が少しだけ優位だ。

いったい、どういうことか? まずはボディサイズから解説しよう。
 

車名 ステップワゴン セレナ
グレード G/G・EX e:HEV/SPADA X/XV/e-POWER ハイウェイスター
全長 4690mm 4760mm 4685mm 4770mm
全幅 1695mm 1740mm
全高 1840~1855mm 1865~1875mm
車名 ステップワゴン セレナ
グレード G/G・EX
全長
全幅 1695mm
全高 1840~1855mm 1865~1875mm

セレナはステップワゴンより少しだけ背が高くなっているが、両車ともほぼ同じサイズ感となっている。注意点としてはグレードによって、区分が異なること。エアロパーツなどを標準装備したセレナのハイウェイスターや、ステップワゴンのe:HEVとSPADAはわずかに大きく3ナンバーとなる。税金などが気になる方は気をつけたいところだ。
 

ホンダ ステップワゴン(5代目)▲ステップワゴンはGとG・EXが5ナンバー、それ以外は3ナンバーとなる
日産 セレナ(5代目)の外観▲セレナはエアロパーツを装着したハイウェイスター以外は5ナンバーとなる

一方で、室内寸法は下記のとおり。

車名 ステップワゴン セレナ
室内長 3220mm 3170~3240mm
室内幅 1500mm 1545mm
室内高 1405~1425mm 1400mm
  ステップワゴン セレナ
室内長 3220mm 3170~3240mm
室内幅 1500mm 1545mm
室内高 1405~1425mm 1400mm

室内空間はセレナの方が若干広いが、体感上はほぼ同じだろう。企業努力によって、確保できる目いっぱいの空間を有しているのだろう。

ここまではほぼ同質だが、両車の主力であるハイブリッド車で比べると微妙な差がある。ステップワゴンのe:HEVは3ナンバーで、セレナのe-POWERは5ナンバーサイズなのだ。結果、税金などランニングコストの点を踏まえると、セレナの方がわずかに有利と言える。
 

 

【ドア】バックドアの使い勝手をチェック

車内のユーティリティ性能を重視するミニバンユーザーに、気にかけてほしいのがスムーズな乗り降りと荷物の出し入れ。両側パワースライドドアを有しており装備自体の甲乙はつけがたいが、使い勝手では若干ステップワゴンが上回る。
 

車名 ステップワゴン セレナ
開口幅 780mm 790mm
開口高 1260mm 1200mm
ステップ高 390mm 400mm
  ステップワゴン セレナ
開口幅 780mm 790mm
開口高 1260mm 1200mm
ステップ高 390mm 400mm

乗降性に関する、開口部の広さやステップ高は両車ともにハイレベル。十分な広さがあり、乗り込みやすい低いステップ高に設定され、大きな差はない。

バックドアでも両車は他のライバル車にはない便利な機能を備えている。ステップワゴンの「わくわくゲート」と、セレナの「デュアルバックドア」だ。
 

ホンダ ステップワゴン(5代目)のわくわくゲート▲35度、57.5度、78度の3段階の角度に開くわくわくゲート。荷物はもちろん人も乗り降りできる

ステップワゴンのわくわくゲートでは、2方向に開けられる。通常のバックドア同様に縦に跳ね上げるだけでなく、横方向にも開閉可能。駐車スペースなどの状況に合わせて選択でき、ここから人が乗り降りすることもできる。
 

日産 セレナ(5代目)のデュアルバックドア▲ガラス部分だけを開けられるデュアルバックドアでちょっとした荷物の出し入れがノンストレスに

対するセレナのデュアルバックドアは、リアガラスの部分だけを開閉できる機能だ。日常の買い物ならバックドアを全開にする必要はないため、まさに必要十分。開けた瞬間に荷崩れする心配などがないのも利点だ。

スライドドアの乗降性はイーブンなので、優劣をつけるとしたらバックドアの仕様。そうなると、ステップワゴンの方が便利。わくわくゲートなら、あわゆる状況に臨機応変に対応できるからだ。
 

 

【内装】おもてなし満載の充実機能

ステップワゴンもセレナも質感が高く、ムダのない空間づくりに注力。シンプルで落ち着いた雰囲気で内装も充実しているが、より快適性を求める人にはセレナの方がオススメだ。

ホンダ ステップワゴン(5代目)のインパネ▲ステップワゴンのインパネ。シンプルな中にも多彩な収納スペースが確保されている

ステップワゴンのインパネは水平基調でとてもシャープ。ムダな装飾はほとんどなく理路整然とまとめられている。助手席側のグローブボックスだけでなく、運転席側にもインパネトレーやサングラスボックス、アッパーボックスがあるなど収納も豊富だ。
 

日産 セレナ(5代目)のインパネ▲セレナのインパネ。運転席のアッパーボックスにはUSB電源も装備されており、スマートフォンなどの充電が可能

セレナのインパネは、丸みのある落ち着いた雰囲気。助手席側にはグローブボックスやトレー、アッパーボックス運転席側にロアボックスも装備されている。こちらも収納に困ることはないだろう。

勝負の分かれ目は後席だ。ステップワゴンの運転席と助手席にはシートバックアッパーポケットがあり、スマートフォンなどの小物を収納可能。フック付きのテーブルやアームレストのフックで、袋やカバンを掛けておける。

対するセレナもテーブルを装備。しかも、こちらの方が大きく、タブレット端末を置くための溝があって多用途だ。グレードにもよるが、3列目にもパーソナルテーブルが備えられている点やUSBソケットが2列3列目に2つずつ確保されている点も◎だ。スマホなど電子デバイスに考慮している分、わずかにセレナの方が使いやすいだろう。
 

 

【乗車人数】3列目シートの使い勝手に要注目

シートレイアウトや荷室の積載性にも影響を与える乗車人数。先に結論を言うと、普段使いでは総合的にステップワゴンの方が便利だ。

乗車定員はステップワゴンが2-2-3の7人。グレードによってはオプションで2列目をベンチシートに変え、8人乗り仕様にできる。一方、セレナはe-POWERが2-2-3の7人、それ以外のスマートシンプルハイブリッド車が2-3-3の8人乗りだ。

両車は「7人乗りは2列目がキャプテンシート」「2~3列目をフルフラットにできる」など設定が似ている。しかし、そのシートレイアウトには違いがある。

注目すべきはセレナの8人乗りだ。「スマートマルチセンターシート」を前後にスライドすることで、1列目にも2列目にも加えられる。1列目にセットすればアームレスト、2列目にセットすればベンチシートとして使える。8人乗りながら2~3列目のウォークスルーを可能とした画期的な機能だ。

さらに確認しておきたいのは、3列シートの格納方法。ステップワゴンの3列目シートは「マジックシート」と呼ばれ、分割で床下に格納できる。これによって3列目をスッポリと隠せ、荷室空間をゆったりと使える。一方で、セレナの3列目は左右への「跳ね上げ式」で、荷室のスペース効率では遅れをとっている。
 

ホンダ ステップワゴン(5代目)のマジックシート▲マジックシートを床下に格納できることで荷室空間を四角く使える。片側を格納&2列目シート前端までスライドさせことで自転車をまっすぐに積めるなど、使い勝手は抜群
日産 セレナ(5代目)のスマートマルチセンターシート▲セレナのスマートマルチセンターシート。ウォークスルーの位置を自在に変えられるのは、大人数でのドライブ時に力を発揮するだろう

セレナのスマートマルチセンターシートも非常に魅力的だが、ミニバンユーザーの多くは普段は3列目を荷室として使うケースが多いはず。いざ3列目を格納して荷室を広く使いたいときに有利なのは、マジックシートを採用したステップワゴンだ
 

 

【燃費】エンジンの種類によって優劣が変わる

単純な燃費性能ではステップワゴンの方が好燃費だ。 パワートレインはステップワゴンが1.5Lのガソリン車と、2Lのハイブリッド車(e:HEV)。セレナが2Lのスマートシンプルハイブリッド車と1.2Lのハイブリッド車(e-POWER)をラインナップ。WLTCモード燃費を、直近のマイナーチェンジ後モデルで比べると下記のとおりだ。

■ステップワゴン(2019年12月~)
1.5Lガソリン:13.0~13.6km/L
2L e:HEV:20.0km/L
 

▼検索条件

ホンダ ステップワゴン(5代目)×ガソリン×全国

▼検索条件

ホンダ ステップワゴン(5代目)×ハイブリッド×全国

■セレナ(2020年8月~)
2Lスマートシンプルハイブリッド:11.8~13.2km/L
1.2L e-POWER:18.0km/L
 

▼検索条件

日産 セレナ(5代目)×ハイブリッド×排気量2L×全国

▼検索条件

日産 セレナ(5代目)×ハイブリッド×排気量1.2L×全国

燃費性能に関しては、一番良いのはステップワゴンの2L e:HEVで20.0km/Lだ。次いでセレナの1.2L e-POWERが18.0km/L、ステップワゴンの1.5Lガソリン車、セレナの2Lハイブリッドと続く。
 

ホンダ ステップワゴン(5代目)の走行シーン▲ステップワゴンのガソリン車はダウンサイジングされた1.5Lターボエンジンで低燃費
日産 セレナ(5代目)の走行シーン▲セレナのe-POWERは1.2LながらパワフルでWLTCモード燃費18.0km/Lと経済的

純粋な燃費性能で見ればステップワゴンの2L e:HEVで間違いない。ただし、税金などのランニングコストも考慮するとセレナの1.2L e-POWERも捨てがたい。2L車と1.2L車では、毎年の自動車税が5000円ほど違ってくるからだ。

そのため、どちらがオトクかは乗る頻度によって異なる。長距離を走るならステップワゴンのe:HEV、そこまで走らないならセレナのe-POWERが妥当な選択肢となる。
 

 

【安全装備】どちらも優秀だが、装備差は明確

両車ともに十分な安全性能を備えているが、セレナが一歩リードしている印象だ。それぞれの装備内容を振り替えてみよう。

ステップワゴンは2019年のマイナーチェンジから「Honda SENSING」を全グレードに標準装備。衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリングなど、8つの機能が盛り込まれた先進安全装備だ。結果、平成29年度自動車アセスメント(JNCAP)の予防安全性能評価で最高ランクの「ASV++」を獲得している。
 

ホンダ ステップワゴン(5代目)の安全装備▲Honda SENSING搭載車は、グレード名にその名前が付いている。選ぶときにわかりやすいのもありがたい

セレナは2019年8月のマイナーチェンジより360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム)が全車標準となっている。360°エマージェンシーブレーキや前方衝突予測警報、RCTA(後退時車両検知警報)など11の機能を搭載。こちらも平成29年度自動車アセスメント(JNCAP)の予防安全性能評価で最高ランクの「ASV++」を獲得している。

加えて高速道路でのアクセル、ブレーキ、ハンドル操作をアシストしてくれる「プロパイロット」を搭載したグレードもある。安全装備の中でも選択肢があるのはうれしいところだ。

両車ともに安全性能は抜群だが、中古車で購入するなら年式をチェックすること。どちらの車でも安全性能を重視するなら、2019年のマイナーチェンジ以降のモデルで選びたい。
 

日産 セレナ(5代目)の安全装備▲セレナのプロパイロットがあれば高速道路での運転が安全&快適に。ハンドルから手を離しても、車線とスピードを維持して走行してくれる
 

【中古車価格】乗車人数によって掲載物件数が大きく変動

中古車平均価格で比べるとどちらも同じような価格帯だが、選択肢はセレナの方が多い。まず両車の新車時価格と、カーセンサー掲載物件の中古車平均価格は以下のとおり(2022年3月8日現在)。

■ステップワゴン
新車時価格:229万~445万円
中古車平均価格:228万円

■セレナ
新車時価格:232万~420万円
中古車平均価格:222万円

ステップワゴンの登場初期モデル(2015年4月~2016年4月)だと、中古車平均価格が191.8万円。安全装備が拡充され始めた2016年5月~2017年8月生産モデルは200.6万円となっている。

同時期のセレナと比較すると2016年8月~2017年4月のデビューモデルで201.1万円。e-POWERやプロパイロットが採用されたモデルは235.4万円となる。似たような価格帯ではあるが、ステップワゴンの方が若干お手頃だ。
 

ホンダ ステップワゴン(5代目)▲コンプリートカーのモデューロXにもハイブリッド車を用意。スポーティなデザインが好みなら、SPADAと合わせて検討する価値アリ

掲載台数を見ると、ステップワゴンが1650台、セレナが3536台。選択肢ではセレナが有利だ。さらに、乗車人数で見ると特徴が明確になる。

■ステップワゴン
7人乗り1164台/8人乗り486台
 

▼検索条件

ホンダ ステップワゴン(5代目)×7人乗り×全国

▼検索条件

ホンダ ステップワゴン(5代目)×8人乗り×全国

■セレナ
7人乗り468台/8人乗り3065台
 

▼検索条件

日産 セレナ (5代目)×7人乗り×全国

▼検索条件

日産 セレナ (5代目)×8人乗り×全国

ステップワゴンは7人乗り、セレナは8人乗りが主力商品となっているのだ。そのため、自分の暮らしや希望条件にあった方を優先的に探した方が、気になる物件を見つけやすいかもしれない。
 

日産 セレナ(5代目)▲2016年8月のデビュー時のセレナは、現在とフロントフェイスのデザインが異なる。デザインが一新された2019年8年以降のモデルは250万円以上がザラなので、お得感を求めるならそれ以前の前期モデルがオススメだ

最後に先進安全装備付きの中古車を見てみよう。衝突被害軽減ブレーキと誤発進防止装置、アダプティブクルーズコントロールを備える中古車はステップワゴンが360台、セレナが1315台。先進安全装備が付いている物件が豊富なのもセレナとなっている。
 

▼検索条件

>ホンダ ステップワゴン(5代目))×全国
 

▼検索条件

日産 セレナ(5代目)×全国
文/綱島剛(DOCUMENT)、写真/ホンダ、日産