日産 ティアナ(3代目)▲ブレーキのタッチやスムーズな加速など、隅々まで高級セダンらしさが追求されたティアナ。後席の乗降性を高めるため、Bピラーの足元の形状まで工夫されている

順調に値落ちを続ける一方、そろそろ走行距離が気になる

往年の名車であるセフィーロとローレルの後継車として開発された高級セダン、ティアナ。

2014年2月に3代目が登場し、北米では「アルティマ」として人気を得るなど世界120ヵ国以上で販売されていた。

しかし、日本ではミニバンやSUVブームに押され、2020年7月ついに後継車のないまま生産が終了した。

新車時の販売台数は振るわなかったものの、日産車の中ではフーガに次ぐ高級セダンという位置付けゆえ、質感や動力性能が高く、実は中古では根強い人気を維持しているようだ。

そのため中古車の値落ちは緩やかだが、登場から8年ほど経ったことでだいぶ値落ちが進み、具体的には2年で平均価格が30万円近くダウンしている。

一方で、時間の経過とともに平均走行距離も約4万2000kmと延びてきているようだ。

良コンディションの物件を狙うなら、そろそろ積極的に探すタイミングではないだろうか。

では現状どんな中古車が流通しているのか。まずは相場状況から確認していこう。
 

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日産 ティアナ(3代目)×全国
 

5万km超が3割以上、10万km超も出るようになってきた

先述のとおり、値落ちはとても緩やか。逆境下のセダンではあるが、一定の需要は存在し続けているめだろう。

それでも、順調に値落ちを続けた結果、2020年1月には159.3万円だった平均価格は2年間で30万円近く下がり、2022年1月には131.4万円となった。
 

日産 ティアナの平均価格推移グラフ▲2020年頭~2021年中旬まで順調に値落ちが進み、以降は130万円前後で推移している

ティアナのライバルとなると、トヨタ マークXやカムリ(3代目ティアナと同時期はカムリハイブリッド)といったところ。

これらライバルと比べると平均価格はマークX(2代目)が約140万円、カムリハイブリッドが約131万円と、あまり差はない。

しかし、平均走行距離を見るとティアナが約4万2000kmなのに対し、マークXが約5万6000km、カムリハイブリッドが約5万9000kmだから、ティアナの方が割安と言って良いだろう。

とはいえ、ティアナも5万km超の物件が3割以上を占め、10万km超もちらほら見られるようになってきた。

ティアナの魅力の1つに「質感の高さ」ということが挙げられるが、それを享受しようと思うなら、やはり良コンディションの中古車を探したいところ。

そう考えると、そろそろ探し始めた方が良さそうというわけだ。
 

 

ティアナ伝統の「助手席電動オットマン」など快適な機能や装備が備わる

日産 ティアナ(3代目)▲全長4880mm×全幅1830mm×全高1470mmと堂々たる3ナンバーセダンで、室内は高級セダンにふさわしく広々としていて、高い静粛性も与えられていた

では、改めて3代目ティアナはどんなモデルだったのかを振り返ってみよう。

初代が「モダンリビング」をテーマに質感の高いセダンとして登場し、2代目はそこに「おもてなし」機能が加えられた。 そしてこの3代目では、さらに走行性能にも磨きがかけられ、2014年1月にデビュー。歴代で最も室内空間の広いティアナとなった。

移動の快適性を向上させるため、前席の背もたれには中折れ形状のパッドが採用された。これにより、ドライブ中に上体をより広い範囲で支えることができるとしている。

また、コーナリング時の外側への膨らみを抑えるため、アクティブトレースコントロール機能が備えられた。これは、センサーによって適宜内側の車輪にブレーキをかけ、理想のラインを描けるようにするという技術だ。

初代から採用されている「ティアナの伝統」ともいえる助手席電動オットマン機構は、ベースグレードの「XE」以外に引き続き標準装備。また、後席の膝周りのスペースはクラストップレベルの広さが確保された。

パワートレインは2.5Lエンジン×CVTのみで、すべて2WD(FF)となる。

デビュー時の車両本体価格は242万9700~304万5000円だった。
 

日産 ティアナ(3代目)▲スポーティからエコまで3つの走行モードが用意されている。トランク容量は506Lで、9インチゴルフバッグが4つ積める
日産 ティアナ(3代目)▲純正ナビ搭載車はメーター内に右左折の指示などナビゲーション機能を表示させることができる。また、低燃費走行をしているとインジケーターがグリーンになる
日産 ティアナ(3代目)▲ベースグレードのXE以外は前席に電動シートを装備。最上級グレードのXVはシート地が本革で、前席は座面と背もたれから暖気・冷気を送風できる。他のグレードも高級感のあるスエード調クロスが採用されていた

約6年間の生産期間にマイナーチェンジが行われることはなかったが、衝突被害軽減ブレーキが2015年2月に一部グレード(XLとXV)に、同年12月には全車に標準装備された点は押さえておきたいポイントだ。

以上を踏まえて、以下どのグレードが狙い目か見てみよう。
 

 

お手頃感の高い中核グレード「XL」は、できれば衝突被害軽減ブレーキ付きを

日産 ティアナ(3代目)▲3代目にも用意された電動オットマン機能。歴代ティアナよりもふくらはぎを支える範囲が拡大され、足を伸ばしたときの快適性が増している

価格だけで見ると、一番お手頃なのは当然最廉価グレードの「XE」だが、実は台数自体はXEが2割に満たないのに対し、中核グレードの「XL」は5割以上と圧倒的に多い。

それもあって走行距離5万km未満で絞ると、最も多いのはXLで、5万km未満の7割以上を占める。

つまり、XLの方が良コンディションを選びやすいというわけ。

もちろん、XEと比べて助手席電動オットマン機構や前席電動シート、6スピーカーなど装備が充実している。「手頃な価格の高級セダン」としてティアナを選ぶなら、これくらい充実したXLの方が満足度は高いはず。

さらに2015年2月から衝突被害軽減ブレーキが標準装備されているので、できればそれを狙いたい。

原稿執筆時点で走行距離5万km以下&修復歴なし&衝突被害軽減ブレーキ付きのXLは、平均価格より安い支払総額約120万円から見つけることができた。
 

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日産 ティアナ(3代目)×「XL」系グレード×走行距離5万km以下&修復歴なし&衝突被害軽減ブレーキ付き×全国
 

予算に少し余裕があるなら迷わず最上級グレード「XV」を

日産 ティアナ(3代目)▲最上級グレードの「XV」は、唯一本革シートが採用されている

予算に余裕があるなら、せっかくの高級セダンなのだから、いわゆる「全部のせ」な最上級グレード「XV」をオススメしたい。

唯一本革シートが備わりより上質な車内空間が広がるだけでなく、座面や背もたれから冷暖気が送られるため、本革シートにありがちな“蒸れ”がなく快適だ。

また、運転席はオートドライビングポジション機能付きのため、乗り込む時ときは広々としていても、エンジンをかけると以前設定していたシート位置およびドアミラー角度に自動で調整してくれる。

中古車台数はXEより多く、全体の約2.5割を占める。原稿執筆時点で支払総額約90万円から見つかり、走行距離5万km未満&修復歴なし&衝突被害軽減ブレーキ付きで絞っても約140万円から狙うことができた。

ちなみに新車時の価格は、中堅グレードの「XL」が275.3万円、「XV」が304.5万円と30万円近い差があった。中古車ではその差もだいぶ縮まっているため、お得度は高いと言える。
 

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日産 ティアナ(3代目)×「XV」系グレード×走行距離5万km以下&修復歴なし&衝突被害軽減ブレーキ付き×全国

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日産 ティアナ(3代目)×全国
文/ぴえいる、写真/日産

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。