日産 スカイライン(現行型)▲当初はフロントグリルに日産の海外ブランド「インフィニティ」のマークが備えられるなど、同社のスポーティな高級セダンとして開発されたV37型。北米ではQ50の名で販売されている

日本を代表するスポーツセダンが最近値落ちをしている!?

日本を代表するセダンのひとつ、日産 スカイライン。

2013年11月に登場した現行・V37型は13代目となり、長い歴史のあるモデルで当然日産の看板車種でもある。

そのため、魅力的な機能や装備がたっぷり奢られた1台だ。

しかし、ここのところのセダン不調の流れからか、セールス的には芳しくなく、一時は生産終了!? というニュースも流れたほど。

同社はすぐにその噂を否定したが、次期型の話はまだ聞こえてこない。

そうした中で、現行型の中古車の平均価格が大きくダウンしており、実は「今が買い時!」ともいえる状況になっている。

では、今買うなら狙い目は!? 詳しい相場状況やモデル変遷を確認しつつ紹介していこう。

▼検索条件

日産 スカイライン(現行型)×全国

マイナーチェンジ後のモデルも選びやすくなっている

現行型スカイラインの中古車平均価格は、2020年12月に過去3年で最高値となる279.7万円という値を付けた。 しかし、その後は下落に転じ、2020年6月以降は再び240万円台に戻り、原稿執筆時点では231.5万円にまで下がっている。

一時中古車台数の減少に伴い、価格が上昇した時期もあったが、その後中古車台数が増えるとともに平均価格は下落に転じている。

中古車の価格は需要と供給のバランスで決まるが、まさにその典型のような動きを見せている。

日産 スカイラインの中古車平均価格推移グラフ▲こちらが現行型スカイラインの中古車平均価格推移。1年で約30万円も安くなっているのだ

一方で、デビューから8年以上経っているのに、平均価格が約230万円と聞くと意外に高いと思うかもしれない。

その理由は、マイナーチェンジを受けた2018年式以降の高年式車が増えたことが影響しているようだ。

平均走行距離も高年式車の割合が多いことも影響し、約4万3000kmと8年前に登場したモデルとは思えないほど少ない。

だが、それにも関わらず中古車平均価格が安くなっているということは、このような高年式車の価格も安くなっていると言えそうだ。

つまり、走行距離も少な目な高年式車をお買い得に買うには、今は狙い目のタイミングではないだろうか?

最先端技術や高品質な装備が備わる上級スポーツセダン

日産 スカイライン(現行型)▲先代(V36型)に対し全高を10mm下げ、全幅を50mm広げたロー&ワイドのプロポーション。オートライト機能付きのLEDヘッドライトが標準装備された。全車ランフラットタイヤとなる

では、改めて現行型スカイラインとはどんな車なのか、簡単に振り返ってみよう。

2013年11月にデビューした現行型スカイライン。当初は、3.5Lエンジン+モーターのハイブリッドモデル「350GT ハイブリッド」系のみだった。

2014年5月には当時提携を結んでいたメルセデス・ベンツ製の2Lターボエンジンに7速ATが組み合わされた「200GT-t」が追加された。ちなみにこのエンジンは、当時のCクラスにも搭載されていたエンジンだ。

デビュー時に注目された機能は、ステアリングとタイヤを物理的につながず、ステアリングの動きを電気信号に置き換えてタイヤを操舵する世界初の「ダイレクトアダブティブステアリング」だろう。ハイブリッドモデルに標準装備、200GT-tはオプションで用意された。

さらに全車に純正ナビを標準装備し、ベースグレード以外は本革シートが与えられるなど、上級セダン、そして日産を代表するモデルにふさわしい最先端の機能や装備が備えられた。

衝突被害軽減ブレーキは当初、ベースグレードを除く全車に標準装備されていたが、2016年3月に全車標準装備となった。

デビュー時の車両本体価格は、ハイブリッドモデルが449万6100~553万7700円、200GT-tは383万4000~456万8400円だった。

日産 スカイライン(現行型)▲ハイブリッドシステムは日産独自の2クラッチ方式。システム最高出力は364psで、デビュー時は「世界最速のハイブリッド車」をうたっていたほど、力強い加速力を発揮する
日産 スカイライン(現行型)▲ツインモニターが備わり、上が主にナビ画面などモニター機能、下が操作系機能となる。タッチ式なのはもちろん、スマホのようにピンチイン/アウトでの操作も可能
日産 スカイライン(現行型)▲運転席と助手席は電動シート。ベースグレードを除き前席シートヒーター付き本革シートとなる。また、フルオートエアコンなのはもちろん、ベースグレード以外はプラズマクラスター機能が備わる

2017年12月にはマイナーチェンジが行われ、内外装のデザインが変更された。

そして、2019年7月に再びマイナーチェンジが行われ、日産独自のVモーショングリルに変更されるなど、意匠変更を実施。さらに、世界初の「プロパイロット2.0」がハイブリッド全車に標準装備された。これは、高速道路上で一定条件下においてハンドルから手を離しても自動で走行するという先進運転支援機能だ。

同時にパワートレインの見直しが図られ、従来のハイブリッドモデル(ハイブリッドGT系)と3Lターボ(GT系)、3Lツインターボ(400R)の3つになった。3Lツインターボは同車史上最高となる最高出力405psを発揮する。

日産 スカイライン(現行型)▲最近の同社の象徴である「Vモーショングリル」が採用された。同時にフロントグリルやステアリングホイール内のインフィニティマークは「NISSAN」となった

以上が現行型スカイラインの大まかな変遷だが、ご覧のとおり長いモデルライフの中で2度マイナーチェンジを行っているのがポイントで、中古車を選ぶ際にはこのあたりをチェックする必要がある。

これを踏まえ、以下オススメ物件を紹介していこう。

お手頃で走行距離が少ない物件がたくさん見つかる「200GT-t」系

お手頃な価格でスカイラインを狙うなら、メルセデス・ベンツ製の2Lターボを搭載した200GT-t系がオススメだ。

もともとハイブリッドモデルより約50万円安く設定されていたこともあり、中古では支払総額約120万円あたりから見つけることができ、走行距離5万km以下で絞っても、支払総額150万円から見つけることができる。

また、台数も全体の約4割を占める160台ほどあり、選びやすい点もオススメのポイントだ。

なお、このメルセデス製のエンジンを積んでいることに対して、一部驚きの声があったが、同社の基幹車種ともいえるCクラスにも搭載されていたことを考えると、その性能はお墨付きと言って良いだろう。

ちなみに、ベースグレードと上級グレードのタイプPとの違いはクロスシートが本革シートに、フルオートエアコンがプラズマクラスター機能など高機能付きになることくらい。

タイプSPになるとアルミペダルや専用フロントバンパー、19インチアルミホイール(タイプPは17インチ)などスポーティな装備が追加される。その辺をあまり気にしないのであればベースグレードでも十分だろう。

ただし、ベースグレードを選ぶ際には年式に注意してほしい。衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロール、車線逸脱防止支援システムといった先進安全運転支援機能が装備されるようになったのは2016年3月以降モデルのため、これらの機能が必要な人は必ず確認を。

▼検索条件

日産 スカイライン(現行型)×「200GT-t」系グレード×全国

燃費が良くてハイパワーでも安い「350GT ハイブリッド」系

「なるべく手頃な価格が良いけど、せっかくスポーツセダンに乗るなら走る楽しさも欲しい!」

そんな要望に応えてくれるのが、前期モデル(2013年11月~2017年11月生産)のハイブリッドモデル「350GT ハイブリッド」系だ。

最高出力364ps/最大トルク290N・mというスポーツカー顔負けの性能を備えながら、JC08モード燃費18.4km/Lと低燃費でもある。

もちろんパワーや燃費だけではない。ハイブリッドモデルには世界初となる「ダイレクトアダブティブステアリング」が備わるので、200GT-t系と比べてステアリング操作に対する反応が早く、意のままに走れる感覚が得やすくなる。

この内容ゆえ200GT-t系よりはやや高めだが、それでも原稿執筆時点で見ると走行距離7万km未満の物件が支払総額150万円から十分見つけることができる。

▼検索条件

日産 スカイライン(現行型)×2013年11月~2017年11月生産モデル×「350GT ハイブリッド」系グレード×全国

“スカイライン”の名にこだわるなら最初で最後!? な「400R」を

日産 スカイライン(現行型)▲19インチアルミホイールを履くなど外観はタイプSP同等。見た目の違いは「400R」のバッジくらいだ。「パイロット2.0」こそ付かないが、衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなど先進安全運転支援機能が備わる

2019年7月に突如現れた、スカイライン史上最強の最高出力405psを発揮する400R。

カーボンニュートラルな時代が進む中、また同社も電動化を加速している中で異例ともいえるハイパワーなガソリンエンジン車だ。

「ダイレクトアダブティブステアリング」は標準装備され、スポーツ走行用に専用チューニングされている。

足回りにも電子制御式ショックアブソーバーが備わり、走行状況に応じて車両姿勢をコントロール。405psを余すことなく路面に伝えてくれる。

デビュー時の車両本体価格は552万3120円。台数は少ないが、原稿執筆時点で30台近く見つかった。

いずれも走行距離は5万km未満で、修復歴なしの中古車が車両本体価格約450万円、支払総額でいえば約470万円から狙える。

決して安くはないが、時代を考えるとこれが最後のハイパワーエンジン搭載スカイライン!? 今後は歴代のスカイラインシリーズ同様に「プレミア化」することも考えられるため、良コンディションが現実的な価格で選べる今のうちに狙ってみてはどうだろう。

▼検索条件

日産 スカイライン(現行型)×「400R」×全国

▼検索条件

日産 スカイライン(現行型)×全国
文/ぴえいる、写真/日産

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。