スバル レガシィB4(2代目)▲ただでさえ低重心化に有利な水平対向エンジンを採用しているうえに、初代・BE型レガシィB4と比べてエンジン搭載位置を引き下げるなど、さらなる低重心化を図り、走行性能が高められた2代目・BL型

お手頃スポーティセダンの代名詞だが、ここのところ価格が上昇中

レオーネから続くスバルのスポーティセダン、レガシィB4。

レガシィのセダンとしては4代目、「B4」というサブネームが付いてからは2代目となるBL型は、2003年6月~2009年4月にわたって生産された。

セダンの人気が低迷する中でも一定の人気を得ていたものの、中古車の平均価格は長らく40万円台とお手頃な価格で推移していた。

そんな2代目・BL型レガシィB4だが、実は2021年2月あたりから中古車平均価格がじわじわ上昇しているのだ。

なぜ中古車価格が高騰しているのか。その理由を探りながら、今狙うべきレガシィB4は何か、見ていこう。

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スバル レガシィB4(2代目・BL型)×全国
 

価格が上昇に転じたのは、同社の名エンジン「EJ20」の製造終了が要因か!?

なぜ長らく横ばいで推移していた中古車平均価格は上昇したのか。

要因のひとつとして、長年同社をけん引してきた名エンジン「EJ20」を搭載する最後のレガシィB4であることがあげられる。

EJ20エンジンは、インプレッサSTIやWRX STIなどには引き続き搭載され続けていたが、この2代目の後継となる3代目レガシィB4には搭載されなかった。

しかし、2019年末にEJ20搭載モデルの製造中止がアナウンスされ、同時に最終モデルとしてWRX STIの特別仕様車「EJ20 Final Edition」が販売された。

EJ20は初代レガシィから始まった名機だけに、「最後のEJ20搭載レガシィ」の人気が高まることは不思議ではない。

スバル レガシィB4の価格推移グラフ▲EJ20の生産終了が発表された翌年の2020年秋頃から徐々に価格は上昇し、直近1月には60万円を超えている

一方で、中古車の延べ掲載台数は引き続き200台以上をキープしており、極端な減少は見られない。

本来であれば、中古車の価格というのは需要と供給の関係で決まってくる。つまり、台数も減っていておかしくはないのだが、2代目レガシィB4にはそのような動きはないため、単純に「車そのものの価値が上がっている」という状況なのだ。

実は同様の理由で4代目・BP型レガシィツーリングワゴンも2021年に入って平均価格が上昇している。


EJ20フィーバーが一服すれば価格も落ち着くかもしれないが、それがいつかは読みにくい。

そして、時間が経つにつれて走行距離は確実に増え、経年劣化も進んでいくことは間違いない。

ちなみに、原稿執筆時点での平均走行距離はすでに約9万1000km。10万kmを超えるのもそう遠くなさそうだ。

ということで、2代目レガシィB4が気になるのであれば、早めの行動がオススメというわけ。

 

スポーティセダンとしての素性が高められ、後期にはEyeSight搭載車も設定された

スバルレガシィB4(2代目)▲初代レガシィB4と比べて全幅が+35mmの1730mmと3ナンバーサイズとなった。一方で、最小回転半径は-0.2mの5.4m(2Lターボ車の比較)と小回りが利くようになった

ここからは、改めて2代目・BL型レガシィB4の概要を振り返ってみよう。

2003年6月から発売が開始された同モデルは、もちろん全車4WDだ。

当初搭載されたエンジンは3種類。2L DOHCターボ(2.0 GT系)に2L DOHC(2.0 R系)、2L SOHC(2.0 i系)で、いずれも水平対向4気筒のEJ20型となる。

NA(自然吸気)は4速ATのみ、ターボは5速ATが組み合わされ、さらにターボとDOHCエンジンには5速MTも用意されていた。

新車時の車両本体価格は203万~295万円だった。

スバルレガシィB4(2代目)▲2.0 GT系には回頭性の高い前45:後55の不等・可変トルク配分電子制御AWD(VTD-AWD)が、それ以外は通常は前輪で走行し、走行状況に応じて後輪を駆動させるアクティブトルクスプリットAWD(AT車)か、前50:後50のビスカスLSD付きセンターデフ方式AWD(MT車)が組み合わされる
スバルレガシィB4(2代目)▲2.0 GTと2.0 GTスペックBには視認性の高いエレクトロルミネセントメーター、MOMO社製本革巻きステアリングが備わる。2.0 GTと2.0 GTスペックB、2.0 Rにはオプションでマッキントッシュサウンドシステムがオプションで用意されていた

2003年9月には、3Lの水平対向6気筒DOHC(EZ30)+5速ATを搭載した3.0 Rが追加。続く、2005年5月に2L SOHCの2.0 i系に5速MT車が追加された。

2006年5月にはマイナーチェンジが行われ、内外装のデザインが変更された他、2L DOHCターボの2.0 GT系と3L DOHCの3.0 R系に「SI-DRIVE」が採用された。

これは3つのモード(インテリジェント/スポーツ/スポーツシャープ)から任意に走行モードが選べるという機能だ。

スバルレガシィB4(2代目)▲前期型とパッと見はあまり変わらないが、フロントグリルにメッキが施されて6角形が鮮明になり、グリル内の6連星から左右に伸びるバーもウイング型になっている。写真は2.0 GT

2006年11月には2.0 GTと3.0 Rをベースとした特別仕様車「SIクルーズ」が発売された。レーザーレーダーを用いたSIクルーズは「ほぼ0~100km/hまでの速度域」において先行車を追従する、後のEyeSightに通じる機能だ。

2007年11月には、2.5Lの水平対向4気筒SOHCエンジン(EJ25)×4速ATを搭載した2.5 iアーバンセレクションが追加された。

2008年5月には内外装の質感向上など一部改良が行われるとともに、2.0 GTと3.0 RにEyeSight搭載車が設定(3.0 RはEyeSight搭載モデルのみとなる)。

搭載されたEyeSightはステレオカメラ方式で、ver.1と呼ばれるもの。当時の法規上の問題で、クルーズコントロール機能は完全停止までは行えないが、衝突の危険を検知すると自動的にブレーキが働く。

スバルレガシィB4(2代目)▲EyeSight(ver.1)は衝突被害軽減ブレーキの他、全車速追従機能付きクルーズコントロール機能やAT誤発進抑制機能、車線逸脱警報、先行車発進お知らせ機能などが備わる

また、約6年の生産期間に、いくつも特別仕様車が登場している。

例えば、WRCで活躍していたインプレッサと同じWRブルーをまとった2.0 GT WRリミテッド2004と2005、ポルシェがデザイン監修したブリッツェンの流れをくむブリッツェン2005と2006、「究極のグランドツーリングカー」を目指して開発されたS402などがある。

 

「EJ20」のスポーティさをお手軽に
2.0 GT/2.0 GTスペックB系

スバル レガシィB4(2代目)▲2.0 GT系の最高出力は5速MT車が280ps、5速AT車は260psとなる。写真は2.0 GTスペックB

レガシィツーリングワゴンと比べると台数の少ないレガシィB4だが、最上級モデルの2.0 GT系なら全体の約半数を占め、予算やボディカラーなどの好みに合わせて選びやすい。

搭載されるエンジンは、ターボを搭載する「EJ20型」で、2代目レガシィB4の中でも特にスポーティな走りを楽しめるためオススメだ。

2.0 GT系には2.0 GTと2.0 GTスペックB、さらにそれぞれをベースとした特別仕様車やEyeSight搭載車が設定されているが、中古車ではほぼ2.0 GTか2.0 GTスペックBの二択で、同じくらいの台数が見つかる。

スペックBは2.0 GTに対してスポーティグリル&フロントバンパーが備わり、5速AT車にはクルーズコントロールが備わるが、両車ともビルシュタイン製ダンパーを備えるのは同じだ。

マイナーチェンジ前のモデルは総額50万円以下から、マイナーチェンジ後のモデルは総額60万円くらいから見つかる。

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スバル レガシィB4(2代目・BL型)×2.0 GT/2.0 GT スペックB系グレード×全国
 

意外と値上がりはしていない!?
チューンドバイSTI

スバル レガシィB4(2代目)▲チューンドバイSTIは2.0 GTスペックBをベースに2005年、2006年、2007年にそれぞれツーリングワゴンと合わせて600台限定で販売された

せっかく最後のEJ20搭載のレガシィB4に乗るなら、同社のモータースポーツ部門「STI」が走行性能を高めたモデル、チューンドバイSTIを狙ってみてはどうだろう。

2005年8月発売のバージョンはエアロパーツをはじめ、アルミホイールやローダウンスプリング、フロントタワーバー、ピロボールブッシュリアサスリンク、ブレンボ社製ブレーキ、専用シートなどが備えられたモデル。

2006年8月発売バージョンはさらに専用チューニングされたビルシュタイン社製ダンパーやフロントロアアームバー、専用ステンレスメッシュブレーキホースなどが与えられた。

2007年8月発売バージョンは、フロントタワーバーがフレキシブルタワーバーとなり、専用チューニングされたECUやTCU(AT車)が加えられている。

これだけのチューニングを施されているにも関わらず、今のところは支払総額約100万~220万円と現実的な価格で狙えるのも嬉しい。

ただし、掲載台数はかなり少なくなるため、こまめな物件チェックが必要不可欠だ。

なお、さらにチューニングが施されたS402を狙うという手もあるが、こちらはさらに掲載台数が少なく、見つかったとしてもかなり高額のものが多い。

その点も踏まえて、やはりオススメは「チューンドバイSTI」だ。

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スバル レガシィB4(2代目・BL型)×2.0 チューンドバイSTI×全国

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スバル レガシィB4(2代目・BL型)×全国
文/ぴえいる、写真/スバル

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。