三菱 ランサーエボリューションIV、V、VIの中古車平均価格が軒並み上昇中! それぞれの今のオススメの探し方は?
2022/02/12
いまだ三菱のイメージリーダーとなっている“ランエボ”
2016年春にファイナルエディションが完納となり、いったんその歴史に幕を閉じた三菱 ランサーエボリューション。
それから6年の時が経過していますが、いまだに“三菱=ランサーエボリューション”というイメージをもっている人も少なくなく、依然として高い人気を誇っているのはご存じのとおり。
基本的にはモータースポーツのホモロゲーション取得用に、その必要台数のみが限定販売されていましたが、各モデルとも人気のために増産されることも珍しくないモデルでした。
とはいえ、やはり販売台数はそこまで多くなく、現在では状態の良い物件を中心に軒並み高値となっているのが現状です。
今回は、歴代ランエボの中でも「何となくまだ手が届きそう」な感じがしていた、第2世代のモデル(IV、V、VI)にフォーカスしてみたいと思います。
第2世代のランサーエボリューションとは
ランエボは初代モデルから最終型のXまで、大きく分けて10世代のモデルが存在していますが、第2世代のランエボは1996年8月~2001年1月までに生産された、ランエボIV(4)~VI(6)のことを指します。
グレードは初代ランエボから共通しており、街乗りも考慮してエアコンやオーディオといった快適装備や電子制御なども搭載した「GSR」と、モータースポーツのベース車として快適装備が省かれ、シートやホイールなども簡素なものが装備される「RS」が設定されていました。
■ランサーエボリューションIV
第2世代ランエボのスタートとなったランエボIVは、1996年8月に登場。ベースのランサーが新しくなったことにより、搭載エンジンこそ直列4気筒2Lターボの4G63型のままでしたが搭載位置を左右反転。
これにより、トランスミッション内に存在していたインターミディエイトギアを廃止することが可能となり、エンジンレスポンスの向上を実現。最高出力も先代モデルの+10psとなり、当時の自主規制値である280psを達成しました。
また、のちのランエボにも改良されながら搭載され続けた、電子制御によって左右後輪への駆動力を変化させて旋回性能をアップさせる「AYC(アクティブ・ヨー・コントロールシステム)」をGSRグレードに初搭載し、「4WD=曲がらない」というイメージを打破しています。
■ランサーエボリューションV
1998年1月にはランエボVが登場。
従来のモデルの弱点といわれていたブレーキ性能やタイヤの容量の問題をクリアするため、オーバーフェンダーを備えたワイドボディ化がなされ、ランエボとしては初めて3ナンバーサイズとなりました。
この改良によって、大容量のブレーキシステムと2サイズ太いタイヤの装着が可能となって大幅に戦闘力がアップ。世界ラリー選手権やスーパー耐久といったモータースポーツシーンでも好成績を残すまでとなりました。
搭載されたエンジンはすっかりお馴染みとなった4G63型で、最大出力は280psのままですが、ECUの16ビット化やブースト圧のアップによって最大トルクは2.0kg・mアップの38.0kg・mを発生し、最新のランエボこそ最速のランエボであることを体現しています。
■ランサーエボリューションVI
そして、翌年の1999年1月にはランエボVIをリリース。
メカニズム面ではすでにランエボVの大幅な進化によって完成の域に達していたため、ランエボVIではWRCのレギュレーションに合致するためのエクステリアの小変更と、エンジンの耐久性と信頼性をアップさせるための改良にとどまっていました。
そんなランエボVIでしたが、翌2000年1月には当時の三菱のWRCワークスドライバーであったトミ・マキネンが、4年連続でドライバーズ・チャンピオンを獲得したことを記念した特別仕様車「トミ・マキネン・エディション」をリリース。
これはただの記念モデルの枠を超え、空力に特化した新デザインのフロントバンパーやターマック(ラリーの舗装路コースのこと)仕様のローダウンサスペンションの採用、新型のハイレスポンスチタンアルミ合金ターボチャージャーを搭載することで中低速域のトルクとレスポンスをアップさせるなど、大きく改良が加えられていました。
そのため、ファンからは通称「ランエボ6.5」とも呼ばれているのです。
それぞれの掲載台数と平均価格の推移は?
もともと台数限定で販売されていたことと、モータースポーツのベース車として選ばれることも多かったランサーエボリューションシリーズだけに、物件の掲載台数はIV、V、VIともに少なめ。
ここ3年ほどの状況を見てみても最も多くても63台、少ないときは29台となっていましたが、2021年後半からは台数が盛り返してきており、現在は第2世代オールで50台前後の延べ掲載台数となっています。
比較的年式の新しいランエボVIが多めで、IVとVはだいたい同じくらいの台数で推移していることがわかります。
一方の第2世代オールでの平均価格は上昇が続いており、3年前の2019年1月には123.7万円と、同世代のスポーツカーに比べややお手頃感ある価格だったものが、2021年12月には312.8万円とおよそ2.5倍にまで跳ね上がっているのです。
こちらもグレードごとにチェックしてみると、やはり低年式のランエボIVが最も安く、次いでランエボV、そして頭一つ抜ける形でランエボVIとなっています。
ランエボIV、Vについては確かに価格は上昇しているのですが、これよりもさらに古いランエボIの平均価格が297万円、ランエボIIの平均価格が302万円(どちらも原稿執筆時点)ということを考えると、まだ手が届くと言っても良さそうです。
ランエボVIの平均価格が高くなっているのは、特別仕様車であるトミ・マキネン・エディションが高値安定となっているためでしょう。
状態の良い高額物件が1台掲載されると、掲載台数が少ないこともあり、大きく平均価格が上がるといった結果のようです。
以下、グレードごとに掲載されている物件の傾向を見ていくとともに、どんな点に注意して物件を探せば良いか、紹介していきたいと思います。
ランサーエボリューションIV
走行距離や修復歴ではなく、メンテナンス歴を重視
執筆時点でのランエボIVの掲載台数は11台で、車両本体価格の幅は185.9万~375.9万円(価格応談は2台)となっていました。
すべて「GSR」で、走行距離が10万km未満の物件はわずか3台のみ。中には20万kmを超えるものもあり、半数以上が修復歴ありという状態となっています。
また、スポーツモデルらしく半数以上の物件が何かしらのカスタムをされている状態です。
ちなみに最も高値の物件は、走行距離3.4万kmかつ修復歴なしのフルノーマル物件で、本体価格375.9万円となっています。
走行距離や修復歴の有無よりも、実車を確認し、適正なメンテナンスを受けてきたかどうかにこだわった方が良さそうです。
▼検索条件
三菱 ランサーエボリューション(2世代目) ×1996年8月~1999年12月生産モデル×全国ランサーエボリューションV
IV狙いの人も同時検討を!
ランエボVの執筆時点での掲載台数は9台と、ランエボIVよりもやや少ない状況。
掲載されるほとんどが「GSR」ですが、わずかに「RS」も含まれていました。快適装備が簡素になるなどの違いがあるため、まずはどちらのグレードなのか必ずチェックしておきましょう。
そして、車両本体価格の幅は189.0万~479.9万円と、最高価格こそIVに比べてだいぶ高いものの、最安値はちょっと高いといったところ。
IVに強いこだわりがなければ、価格的にVも合わせてチェックすることをオススメします。
なお、やはり年式的にIVより若干新しいため、高価格帯の物件を中心に、走行距離が10万km未満かつ修復歴なしといった、コンディション的に期待できそうなものもありました。
今後の整備やメンテナンにかかる費用のことを考えたら、少し予算を上げてこういった物件を狙うのもありかもしれません。
▼検索条件
三菱 ランサーエボリューション(2世代目) ×1998年1月~1998年12月生産モデル×全国ランサーエボリューションVI
「GSR」や「RS」が現実的な狙い目
ランエボVI(トミ・マキネン含む)の掲載台数は第2世代の中では最も多く、執筆時点で16台の物件がヒットしました。
内訳を見ると、GSRが9台、RSが4台、トミ・マキネンが3台と、やや分散しているため、グレードこだわりがある場合はしっかりチェックしてください。
車両本体価格の幅は298.0万~680.0万円と、一番安い物件の価格が、IVやVに比べ一気に100万円以上高くなっています。
また、走行距離も10万km未満の物件は3台で、修復歴なしも3台とやはり走りメインの車両だけあって、多走行や修復歴ありの率は高いと言えるでしょう。
なお、最も高額な物件は5万km台修復歴なしのトミ・マキネン・エディションで、頭一つ抜け出た状態となっていました。ちなみに、トミ・マキネン・エディションは全部で3台掲載されていますが、残りの2台は価格応談となっています。
プレミアム化が進むトミ・マキネン・エディションにこだわらないのであれば、GSRもしくはRSを狙うのが現実的と言えそうです。
▼検索条件
三菱 ランサーエボリューション(2世代目) ×1999年1月~2001年1月生産モデル×全国生産終了からどれも20年以上が経過しており、酷使されやすいスポーツモデルということも相まって、IV、V、VI問わず、走行距離や修復歴の有無はあくまで目安にすぎないと言えそうです。
どこまでメンテナンスがなされてきたのか、ボディの状態はどうなっているのかを実車確認でしっかりチェックし、現状を把握したうえで購入することをオススメします。
そのためにも、まずは信頼できるショップ選びから始めてみるのもいいかもしれませんね。
▼検索条件
三菱 ランサーエボリューション(2世代目) ×全国自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。