ホンダ フィットハイブリッド(初代)▲当時の同社のハイブリッド専用モデル、2代目インサイトと同じ1.3Lエンジン+モーター+CVTというパワートレインを搭載。なお駆動用バッテリーはリチウムイオンではなく、当時の主流だったニッケル水素電池だ

人気低燃費コンパクトカーがかなり手頃な価格に!

初代ホンダ フィットハイブリッドは、2010年10月に2代目ホンダフィットに追加されたハイブリッドモデル。

ノーマルモデル同様の広い室内とシートアレンジを備え、当時の同社の軽自動車・初代N-BOXより低燃費のJC08モード燃費26.0km/Lを発揮。

車両本体価格も159万円~と、1.5Lエンジン搭載車モデルとあまり変わらないこともあってヒットした。

2013年9月に、フィットが3代目へとフルモデルチェンジしたことで生産は終了。わずか約3年間の販売期間だったが、ヒットしただけに中古車台数は豊富だ。

そして今、その初代フィットハイブリッドの中古車平均価格がだいぶ安く、具体的にはここ1年以上40万円台の底値で推移しており、手頃な価格で低燃費モデルを求める人に取って狙い目となっている。

そんな初代フィットハイブリッドを買うなら、どんなものを狙えばいいか? 詳しい相場やモデル概要を振り返りつつオススメを紹介しよう。
 

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ホンダ フィットハイブリッド(初代)×全国 ※支払総額昇順
 

中古車台数の増減に左右されない、いわゆる「底値」の状態

先述のように、初代フィットの中古車平均価格は現在、底値で横ばいしている状態だ。

2020年5月から原稿執筆時点(2022年2月7日)に至る1年半以上、40万~45万円の間で推移している。
 

ホンダ フィットハイブリッドの平均価格推移グラフ▲2020年の半ばに40万円台半ばまで平均価格を落として以降、横ばいの状況が続いている

一方で、中古車延べ掲載台数はここ3年常に1000台以上をキープしており、2020年7月には一度1700台以上に増えたこともあり、潤沢と言える。

しかし、2021年に入ると減少傾向に転じ、12月にはピーク時から400台近く少ない1235台となった。
 

ホンダ フィットハイブリッドの延べ掲載台数グラフ▲引き続き潤沢な台数を確保しているが、実は1年で200台以上も減少している

通常、中古車の価格は需要と供給のバランスで決まるため、本来台数が減れば価格が上がるのが定石。

それでも、台数の増減にかかわらず価格の変化がほぼないということは、いわゆる「底値」という状態というわけだ。

その中でやや気になるのは、走行距離10万km以上の中古車が増えてきていること。ハイブリッドカーが搭載する駆動用バッテリーは、ヘッドライトなどに使う補機類用のバッテリーよりははるかに長持ちするが、それでも寿命があるからだ。

新車時のメーカー保証では、「5年または10万km以内」で不具合が発生したら無償で交換してくれた。

もちろんすでに5年という期限が過ぎているため、この新車保証を利用することはできないが、少なくとも10万km未満なら問題なく使えるというメーカー側の自信がうかがえる。

一般的には20万kmくらいは持つと言われているようだ。実際、15万km超の中古車もあるし、駆動用バッテリーを交換したという話もあまり聞こえてこない。

乗り方次第ではそれ以上走れることもあるし、逆にそれ以下しか持たないこともあるが、この初代フィットハイブリッドの中古車を狙ううえで、「走行距離」がひとつの大きなポイントになるのは間違いない。

特に初めて車を買うような人であれば、なるべく長く乗れる、良コンディションの中古車を選びたいところ。

続いて、モデルの変遷を確認してみよう。
 

 

ガソリン車とほぼ同等の室内空間と、使い勝手を備えていた

ホンダ フィットハイブリッド(初代)▲基本的なデザインはガソリン車と同じだ。ハイブリッド専用デザインとして、フロントグリルがブルーになり、リアにハイブリッドのエンブレムが付く程度

燃料タンクを前席下に配置することで、コンパクトカー=狭い室内という常識を変えた初代フィット。

2代目フィットでは初代フィットよりもさらに室内が広がり、シートアレンジも多彩となった。そんな2代目フィットに追加されたのが初代フィットハイブリッドだ。

駆動用バッテリーをラゲージ床下に収納するため、ガソリン車にあるサブトランクこそ備わらないが、居住空間やシートアレンジはガソリン車と変わらない。。

搭載されるハイブリッドシステムは1.3L+モーター。これにCVTが組み合わされ、JC08モード燃費は26.0km/L。今でも燃費の良さに関しては一級品と言って良いだろう。

デビュー時のグレード構成は、価格の安い順にベースグレード<スマートセレクション<ナビプレミアムセレクションの3グレードとなる。
 

ホンダ フィットハイブリッド(初代)▲低速でクルージングするときに、バッテリー容量が十分であればモーターのみで走行(EV走行)する。同じシステムを備えるインサイトよりはEV走行の領域が増やされている
ホンダ フィットハイブリッド(初代)▲メーター照明色はハイブリッド専用のブルーに。燃費の良い走行をするほど速度計の照明がブルーからグリーンに変わるコーチング機能が備わる
ホンダ フィットハイブリッド(初代)▲ラゲージ床上の収納容量はガソリン車と同じ。後席の背もたれを倒すと床下に沈み込む、ダイブダウン機能が備わり、フラットなラゲージを作れる

2012年5月の一分改良時にはグレードが整理され、ベースグレード/スマートセレクション/シーズ/XHセレクション/RSの5グレードとなった。

シーズは「She's」と表記するように、特に女性をターゲットにしたグレードだ。

XHセレクションはオートライト機能付きヘッドライトやパドルシフトが標準装備されるなど装備が充実している。

RSはスポーティモデルで、エンジンが1.5Lとなり、「スポーツ/ノーマル/エコ」の3つの走行モードが選べる機能が備わる他、唯一6速MTも用意されている。

以上を踏まえて、以下予算別にオススメの初代フィットハイブリッドを紹介しよう。
 

 

平均価格より安い、総額40万円以下のオススメ
走行距離10万km以下の「ベースグレード」か「スマートセレクション」

中古車全体で最も多いのはベースグレード、次いでスマートセレクション、ナビプレミアムと続く。

ベースグレードに対して、スマートセレクションは本革巻きステアリングやETC車載器が備わる。また、ナビプレミアムセレクションはその名のとおり純正ナビを搭載する他、装備が充実している。

総額40万円以下では、ベースグレードとスマートセレクションが3割以上あり、ともに選びやすい。本革巻きステアリングやETC車載器にこだわらないなら、この2グレードで探すのがオススメだ。

さすがにこの価格帯で走行距離5万km以下は少ないが、10万km以下であればベースグレードなら中約30台、スマートセレクションなら10台がヒットする。

もちろん乗り方次第でバッテリーの寿命は変化するが、既に述べたように、走行距離は短い方が安心できる。

特に車を買うのは初めてというような人は、走行距離にこだわった方がいいだろう。
 

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ホンダ フィットハイブリッド(初代)総額40万円以下×走行距離10万km以下×「ベースグレード/スマートセレクション」×全国
 

台数豊富な総額40万~60万円のオススメ
走行距離5万km以下の低走行物件

ホンダ フィットハイブリッド(初代)▲あると何かと便利な純正ナビ。「ナビプレミアムセレクション」には標準装備される

総額40万~60万円以下という価格帯でも、多いのはベースグレードとスマートセレクションだ。

ただし、この価格帯になると走行距離5万km以下が見つかりやすくなり、ベースグレードで約30台、スマートセレクションで約10台がヒットする。この価格帯でも2つのグレードに絞りつつ、走行距離5万km以下にこだわって探すことをオススメしたい。

なお、上記2グレードよりも台数は少なくなるが、ナビプレミアムセレクションも見つかる。登場から10年以上経っているだけに、地図データは古いが、AV入力端子やブルートゥース対応ハンズフリー機能が備わり、リアカメラも付くので便利だ。

上記2グレードに加えて探してみよう。
 

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ホンダ フィットハイブリッド(初代)×総額40万~60万円以下×走行距離5万km以下×「ベースグレード/スマートセレクション/ナビプレミアムセレクション」×全国
 

長く乗れる総額60万円以上のオススメ
走りにこだわった「RS」

ホンダ フィットハイブリッド(初代)▲専用にセッティングされたサスペンションなどが採用され、スポーティさを増した「RS」

総額60万円以上に予算を上げられるのであれば、ほとんどの初代フィットハイブリッドが狙える。

もちろん走行距離にこだわって引き続き低走行物件を探すのもオススメだが、走りにこだわったハイブリッド「IMA」を味わいやすい、RSを狙ってみてはどうだろう。

IMAはインテグレーテッド・モーター・アシストの略で、その名のとおり主にエンジンをモーターでアシストすることで、燃費を稼ぐ。そのため発進時や加速時にモーターのアシストが加わり、力強い加速力を発揮する。

しかも、RSは唯一エンジンが1.5L。つまり、そもそも力強いエンジンを搭載している。さらに、3つある走行モードから「スポーツ」を選べばアクセルレスポンスも俊敏になる。

この価格帯では、40台前後の「RS」が見つかり、半数ほどは走行距離5万km以下という状況。

さすがに6速MTモデルは台数が少ないが、CVTでもパドルシフトが備わるので十分楽しめるハズだ。

平均よりも高めにはなるが、比較的長く付き合える1台になるだろう。
 

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ホンダ フィットハイブリッド(初代)×総額60万円以上×「RS」×全国

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ホンダ フィットハイブリッド(初代)×全国
文/ぴえいる、写真/ホンダ、尾形和美

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。