ホンダヴェゼル(初代)▲全長4295mm、最小回転半径5.3mと街乗りに便利なコンパクトボディ。ただし、全幅が1770mmなので3ナンバーとなる。最低地上高は街乗り中心のSUVとしては一般的な185mm(4WDは170mm)

2代目の大ヒットで、初代の中古車価格が下落している

クーペのようなエクステリアながら、ミニバン並みの使いやすさを備えるコンパクトSUVがホンダ ヴェゼルだ。

2013年12月に登場すると、2014年度から2016年度までの3年連続でSUVの販売台数第1位を獲得するなど大ヒットした。

2021年4月に登場した2代目・現行型も1ヵ月で約3万台を受注するなど、こちらも大ヒット。

その結果、初代からの乗り替えがスムーズに進み、中古車市場には初代ヴェゼルの物件が一気に増えている。

台数があるほど選びやすくなるが、メリットはそれだけでない。中古車は需要と供給のバランスで価格が決まるため、急激に台数が増えると一般的に価格が下がるのだ。

実際、初代ヴェゼルの中古車平均価格はそれまでと比べて急落し、2021年12月時点で1年前と比べ約12万円値落ちしている。

では、そんな選びやすくてお手頃価格になってきた初代ヴェゼルが気になるなら、どんな物件を狙えばよいのだろうか。

中古車の相場状況を確認しつつ見ていこう。

▼検索条件

ホンダ ヴェゼル(初代)×全国
 

典型的な中古車市場の動きを見せている

先述のとおり、初代から2代目への乗り替えが順調に進み、中古車台数は2021年5月から上昇基調に。2020年が4200~4600台あたりでほぼ横ばいだったのに対し、2021年7月以降は6000台以上をキープしている。

ホンダ ヴェゼルの延べ掲載台数グラフ▲新型登場以降、台数が大きく増加していることがわかる

それに応じて中古車の平均価格は下落基調に。

2019年7月から2021年2月あたりまでは180万円台後半をキープしていたのだが、2021年7月以降は170万円台にまで落ちている。そして、2021年12月には1年前の189.9万円に対し、約12万円ダウンの177.8万円となった。

初代ヴェゼルの中古車市場は「流通量が増えると価格が下がる」という、典型的な動きを見せている。

ホンダ ヴェゼルの平均価格推移グラフ▲直近はやや下げ止まり感があるが、それでも170万円台をキープしている

一方、中古車の平均走行距離は約4万2000kmと、今ならまだまだ良コンディションを期待できる中古車が多そうだ。

また、年式別に見るとデビュー直後のモデルよりは、2018年のマイナーチェンジ直前のモデルとなる、2016~2017年式が多いのが特徴。

後述するが、2016年2月に先進安全運転支援機能「ホンダセンシング」が設定されているから、安全性能の高い中古車を手に入れやすい。

では、どの年式やグレード等を選べばいいのか。次に改良の変遷を見ながら探っていこう。

 

ガソリン車・ハイブリッド車でグレード名が微妙に違うので注意

ホンダ ヴェゼル(初代)▲後席ドアのハンドルを後席窓ガラスのフレームに溶け込ませて目立たないようデザイン。ルーフが寝ていることと相まって、2ドアクーペのイメージを印象づけている

2013年12月に登場した初代ヴェゼル。取り回しやすいサイズとスタイリッシュな見た目、同社独自のセンタータンクレイアウト(前席下に燃料タンクを配置)によって見た目より広い室内空間や、多様なシートアレンジを実現して一気に人気を得た。

ラインナップを大別すると、1.5L×CVTのガソリン車と、1.5L×モーター×7速DCT(2ペダルMT)のハイブリッド車となる。

それぞれ2WDと4WDがあり、4WDは電子制御によって前後輪に瞬時に必要な駆動力を与えてくれるタイプだ。ハイブリッドのJC08モード燃費は27.0km/L(2WD)とSUVとしてはトップクラス。

デビュー時には、30km/h以下で前方障害物と追突の危険が迫ると自動的にブレーキをかけてくれるシティブレーキアクティブシステムが用意された。「あんしんパッケージ」の名称で標準またはオプションで備わる。新車時の車両本体価格は187万~268万円だった。

ホンダ ヴェゼル(初代)▲フロントライトはグレードによってハロゲンかオートライト機能付きLEDになるが、リアコンビネーションライトは全車LEDが採用されている
ホンダ ヴェゼル(初代)▲全車キーを差し込む必要のないスタートボタン式。また、パーキングブレーキはスイッチ式で、フルオートエアコンの操作パネルはタッチ式と、スマートな操作感の運転席まわりだ。センターコンソール下にUSBジャックとスマートフォンを置けるスペースが用意されている
ホンダ ヴェゼル(初代)▲リアシートはリクライニング機能付き。座面を跳ね上げてベビーカーなど背の高い荷物を載せることができる
ホンダヴェゼル(初代)▲ラゲージ容量は404Lでゴルフバッグを3つ積める。後席を倒すとフラットな荷室に拡大でき、マウンテンバイクも前輪を外せば2台収納できる

2016年2月には、同社の先進安全運転支援機能「ホンダセンシング」がガソリン車の「G」を除く全グレードに採用された(搭載グレードには「ホンダセンシング」と付く)。同機能には衝突被害軽減ブレーキの他、先行車に合わせて自動追従するACC、車線維持支援システムなどが備わる。

同時にスポーティグレードとして、ガソリン車・ハイブリッド車ともに「RSホンダセンシング」が追加設定されている。併せて、全車にドアロックに応じてドアミラーが自動開閉する機能が標準装備されるなど仕様向上が図られている。

2018年2月にマイナーチェンジが行われ、ホンダセンシングは全車に標準装備されるようになった(グレード名にすべて「ホンダセンシング」と付いた)。

エクステリア・インテリアのデザイン変更や質感向上も図られ、ハイブリッドシステムはよりスムーズな加速フィールを味わえるように改良されている。

ホンダ ヴェゼル(初代)▲2018年2月のマイナーチェンジでフロントバンパーとグリルが変更された。また、ヘッドライトが全車オートライト機能付きのLEDとなった

2019年1月には1.5Lターボモデルが、2019年11月にはガソリン車・ハイブリッド車それぞれにスポーティモデルのモデューロXが追加設定された。

2021年3月に生産を終了し、2代目へとバトンタッチされた。

ホンダヴェゼル(初代)▲専用グリルやバンパーを備えるモデューロX。1.5Lターボとハイブリッドに設定されていた。専用サスペンションを備えるなど足回りに手が加えられ、乗り味も変更されている

なお、グレード構成がガソリン車とハイブリッド車、前期と後期で微妙に異なるのでややこしい。下記にグレード構成を価格の安い順にまとめておくので参考にしてほしい。

【デビュー時】

●ガソリン車・2WD
G
X
S

●ガソリン車・4WD
G

●ハイブリッド・2WD
ハイブリッド
ハイブリッドX
ハイブリッドZ

●ハイブリッド・4WD
ハイブリッド
ハイブリッドX
ハイブリッドX Lパッケージ

【2018年2月マイナーチェンジ】

●ガソリン車
Gホンダセンシング(2WD/4WD)
Xホンダセンシング(2WD/4WD)
RSホンダセンシング(2WD)

●ハイブリッド
ハイブリッドホンダセンシング(2WD/4WD)
ハイブリッドXホンダセンシング(2WD/4WD)
ハイブリッドZホンダセンシング(2WD/4WD)
ハイブリッドRSホンダセンシング(2WD)

この他に、2019年1月に追加された1.5Lターボの「ツーリング」や、スポーティモデルの「モデューロX」がある。

以上を踏まえて下記では予算別にオススメの初代ヴェゼルを紹介しよう。

 

平均価格より安い160万円以下のオススメ
ガソリン車の「Xホンダセンシング」

車両本体価格160万円以下では、だいたいガソリン車4:ハイブリッド車6という割合。しかし、走行距離5万km未満に絞ると、逆にガソリン車が若干上回るという状況だ。

もともとガソリン車より車両本体価格が高いハイブリッド車ゆえ、この価格帯では走行距離が多めか低年式の物件が中心となる。

そのうえでオススメしたいのが、ガソリン車の「Xホンダセンシング」だ。

原稿執筆時点でこの価格帯の1割ちょっとの150台ほどしかないが、その名のとおり先進安全機能のホンダセンシングを備えているグレードだ。

台数だけでいえばハイブリッドのXやZはどちらも260台以上あるが、いずれもホンダセンシングが付いていないグレードだ。ちなみに、ハイブリッドのXホンダセンシングは約60台、Zホンダセンシングは約30台といったところ。

さらに走行距離5万km未満に絞ると、ガソリン車のXホンダセンシングは約90台見つかるのに対して、ハイブリッドのXは約70台、同Zは80台ほどになる。

つまり、ガソリン車のXホンダセンシングの方が、ホンダセンシングが付いて、しかも台数が比較的多く、走行距離の少ない中古車を選びやすいというわけだ。

今どきの車なら衝突被害軽減ブレーキは付いていて当たり前だし、ACCが備わっていればロングドライブでも疲れにくいので、ホンダセンシング付きならきっと重宝するはずだ。

▼検索条件

ホンダ ヴェゼル(初代)×車両価格160万円以下×「1.5 Xホンダセンシング」×全国
 

ちょっと予算を上げた180万円以下のオススメ
ハイブリッド車の「Zホンダセンシング」

この価格帯になると、ガソリン車で多いのがXホンダセンシングの約150台、ハイブリッド車ならZホンダセンシングで約200台。

ただし、走行距離を5万km未満に絞るとガソリン車のXホンダセンシングは約140台、ハイブリッドのZホンダセンシングは約100台となり、まだガソリン車のほうが多い。

それでもハイブリッドで、ホンダセンシングが備わり、Xより装備が充実したZが選べるのであれば、やはりオススメはハイブリッド車の「Zホンダセンシング」となる。

もちろん1つ下のグレードの、ハイブリッドXホンダセンシングも狙えるが、装備はガソリン車のXセンシングと同等なのに対し、台数が約110台(走行距離5万km未満は約90台)とZホンダセンシングより少ない。

つまり、この価格帯ではハイブリッドのZホンダセンシングの方がハイブリッドのXホンダセンシングより選びやすいうえに、ガソリン車のXホンダセンシングより装備が充実しているというわけ。

なお、装備の違いについて説明しておくと、ZホンダセンシングはXホンダセンシングに対してフォグランプがLEDに、シートが上質になり、ラゲージにハードボードが備わって、ルーフレールや雨滴検知式フロントワイパーが付き、RSホンダセンシングと同じパフォーマンスダンパーとなってアルミホイールも16インチが17インチになる。

ちなみに、ガソリン車にZホンダセンシングというグレードはなく、同等のグレードも設定がない。

これだけ充実して、燃費もいいのだから、やはりハイブリッドのZホンダセンシング一択ではないだろうか。

▼検索条件

ホンダ ヴェゼル(初代)×車両価格180万円以下×「ハイブリッドZホンダセンシング」×全国
 

ちょっとリッチに180万円以上のオススメ
ハイブリッド車の「RSホンダセンシング」

この価格帯であれば、当然ながらどれでも選べるが、1.5LターボのツーリングやモデューロXは台数が少なので、欲しい人は根気強く探す必要がある。

また、どちらも2019年に追加されたモデルで、車両本体価格も高かったため、原稿執筆時点でツーリングは車両本体価格約190万円から、モデューロXは約270万円からとなる。

そこでこの価格帯で今回オススメなのが、ハイブリッド車の「RSホンダセンシング」だ。

ホンダセンシングを標準装備し、上記モデューロを除くと最上級グレードで、走行性能を高めるパフォーマンスダンパーやスポーティな装備&快適装備が充実している。

ガソリン車にも「RSホンダセンシング」が設定されているが、台数はガソリン車が約150台なのに対し、ハイブリッド車は約350と台数が多くて選びやすい。また、後期型ゆえ走行距離5万km未満が圧倒的に多く、コンディションも期待できる。

▼検索条件

ホンダ ヴェゼル(初代)×車両価格180万円以上×「ハイブリッドRSホンダセンシング」×全国

▼検索条件

ホンダ ヴェゼル(初代)×全国
文/ぴえいる、写真/ホンダ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。