ムラーノ▲北米市場専用車として開発されながら、グローバルモデルとなったムラーノ。海外では現在3代目となっているが、日本に導入されたのは初代&2代目までとなっている

日産 ムラーノの中古車は今

北米市場で先行発売され、その後、日本、世界へと市場を拡大していったクロスオーバーSUV、日産 ムラーノ。

FFベースの駆動系など基本設計はコンパクトSUVのそれに近いが、ボディサイズやエンジン排気量はミドルクラス以上だ。

余裕たっぷりの車内空間と安定感ある走り、そしてアバンギャルドなデザインが特徴だった。

初代は、大半の物件が総額80万円で手に入るなど価格がこなれており、お買い得な相場。年式を考えると流通量も決して少なくない。今ならまだ走行距離が比較的少ない物件を見つけることも可能だろう。

2代目も、予算100万円で狙える選択肢が豊富で価格帯はリーズナブル。流通量もあるが、仕様には偏りがある。オプション装備の有無も物件を選ぶポイントだ。

ここではムラーノの特徴、中古車を選ぶ際のポイントや現在の中古車相場について世代ごとに解説していく。
 

▼検索条件

日産 ムラーノ× 全国
 

ムラーノ(初代)の特徴と中古車相場

■ムラーノ(初代) DATA
生産期間:2004年9月~2008年8月
中古車流通量:約70台
中古車価格帯:30万~140万円
全長:4770mm × 全幅:1880mm × 全高:1705mm
 

ムラーノ ▲流線型のフォルム、ワイド感のあるフェンダーなど、個性的なデザインがムラーノの魅力。ボディサイズは意外に大きい

■ムラーノ(初代)の特徴
高級大型セダン、ティアナにも採用されていたFFベースのプラットフォームを基に、北米市場向けの新規車種として開発された初代のムラーノ。

2002年の北米デビューから約2年後の2004年に、日本でも販売開始された。

エクステリアは当時、日産で大ヒットを記録していたエクストレイルとは全く異なる、ワンモーションに近いラウンドフォルムを採用。「躍動感のある彫刻」をテーマにデザインされた。

当時、国内では保安基準改正によって国産SUVやミニバンなどにはサイドアンダーミラーを装着しなければいけなかったが、ムラーノはブラインドモニターを装備。

さらに、ドアミラー内に下部確認用ミラーを内蔵することで、フェンダー上へのミラー設置を回避している。こうしたところにも、デザインへのこだわりが感じられる。

1880mmある全幅は、当時の三菱 パジェロやトヨタ ランドクルーザープラドよりもワイドなサイズ。

にもかかわらず、2列シートで5名乗車 & コンパクトな荷室という贅沢な作りだった。
 

ムラーノ ▲有機的な印象のリアビュー。標準で18インチの大径タイヤが採用された

搭載されるエンジンは、2.5L 直列4気筒ガソリンと、3.5L V型6気筒ガソリンの2種類。

前者は4速AT、後者はマニュアルモード付きのエクストロニックCVTが組み合わされた。

乗り味はどっしりとした安定感、剛性感とともに俊敏さが感じられ、当時の国産コンパクトSUVとは一線を画す上質なものだ。

FFの駆動系を標準として、3.5L車にはアクティブトルクスプリット式4WDである「オールモード4×4」仕様が用意された。

グレードは上記仕様の違いによるシンプルな構成で、「250XL」「350XV」「350XV FOUR」の3種類のみ。

全車に7インチワイド液晶モニターとBOSEサウンドシステムを標準装備、「350XV」にはDVDナビや運転席パワーシート(本革)が装備されるなど、豪華な内容だった。

なお、ガラスサンルーフやルーフレール、カーテンエアバッグ、エンジンイモビライザーなどの装備はオプションとなっていた。

特別仕様車は多く設定されたが、マイナーチェンジはごくわずかで、2005年12月に新色を追加、ヘッドランプレベライザーが標準装備化されている。
 

ムラーノ ▲コックピットのデザインも個性的。弧を描くダッシュボード、浮いているようなデザインのメーター類が印象的だ

■ムラーノ(初代)の中古車相場
現在、中古車市場で流通している物件は約70台。

新車当時、高級SUVの位置付けだった初代ムラーノだが、現在の中古車平均価格(車両本体価格)は40万円前後とリーズナブルな状況だ。

モデルライフを通じて大きな変更は行われなかったため、どの年式を選んでも装備内容に大きな違いはない。

生産終了から10年以上経過しているが、走行距離5万~7万kmの物件を見つけることも可能だ。

なお、流通している物件の約75%が2.5Lエンジン車となっている。

コンパクトSUVのようなフォルムのムラーノだが、車重は1780kg(350XV FOUR)と意外に重く、2.5L エンジンでは加速性能が少々もの足りない、というのが正直なところ。

ただし、燃費性能は2.5L エンジン車が10.6km/L、3.5L V6エンジン車が9.3 km/L(ともにFF、10/15モード)となっており、2.5L エンジン車がやや有利。

加速性能を重視するなら3.5L V6エンジン車、燃費を取るなら2.5L エンジン車、雪国に暮らす人やアウトドアを趣味としている人は4WD車、という選択で間違いないだろう。
 

▼検索条件

日産 ムラーノ(初代)× 全国
 

ムラーノ(2代目)の特徴と中古車相場

■ムラーノ(2代目) DATA
生産期間:2008年9月~2015年3月
中古車流通量:約170台
中古車価格帯:40万~210万円
全長:4845mm × 全幅:1885mm × 全高:1700mm
 

ムラーノ ▲さらにインパクトあるデザインとなった2代目。写真はフロントグリルやバンパーのデザイン変更を受けた後期モデル

■ムラーノ(2代目)の特徴
初代のスマッシュヒットを受けて登場した2代目のムラーノ。

プラットフォームを一新し、ボディサイズはさらに一回り大きくなり、ボディ剛性やハンドリング性能も大幅に改善された。

エクステリアは初代のフォルムを継承しながら、フロントグリル、ヘッドライトなどをよりアグレッシブな表情とした。

インテリアのデザインも曲線基調へと変更されている。 なお、初代は北米市場専用モデルとしてデビューしたが、2代目は最初からグローバルモデルとして企画された。

2.5L 直列4気筒ガソリンと、3.5L V型6気筒ガソリンというラインナップは初代と変わらないが、2代目は全モデルにエクストロニックCVTを採用。

3.5L V6ガソリン車には6速マニュアルモードも搭載された。

またデビュー当初、FF仕様の設定はなく全車4WD仕様。2.5L 直4ガソリン車にFF仕様が追加されたのは、2010年1月のマイナーチェンジ以降だ。
 

ムラーノ ▲角張ったプレスラインのない滑らかな造形は2代目でも健在。リアウインドウを五角形として、後方視界確保にも配慮されている

グレード体系も見直され、2.5L 直4ガソリン車、3.5L V6ガソリン車それぞれに標準的な装備内容の「XL」と、上級装備の「XV」を設定するという構成になった。

また、下記のような先進装備が標準化されたのも2代目のトピックである。

・バイキセノンヘッドランプ
・LEDリアコンビネーションランプ
・VDC(ビークルダイナミクスコントロール)+ブレーキLSD
・サイド&カーテンエアバッグシステム
・前席アクティブヘッドレスト

2011年2月には下記の変更が実施された。

【エクステリア】
・フロントグリルのデザインを変更し、シャープさを強調
・フロントバンパーのデザインを変更し、ワイド感を強調
・ボディサイドのキャラクターラインを強調するデザインのリアコンビランプを採用
・スポーティ感を高めた新デザインの金属調塗装アルミホイールを採用
【インテリア】
・メーターのデザインをホワイト基調に変更し、視認性を向上
・本革シートやドアトリムのデザインを変更
 

ムラーノ ▲インテリアのデザインはより未来的なものに。FFベースの設計だが、コントロールパネルやフロアトンネルをあえて大きめに設計し、包まれ感を演出している

■ムラーノ(2代目)の中古車相場
2代目は2015年まで生産されていたが、現在の中古車平均価格(車両本体価格)は85万円前後と初代同様にお買い得。

2008年デビューイヤー前後の物件では総額50万~70万円がボリュームゾーン、モデル後期の物件でも総額80万~110万円前後の価格帯となっている。

排気量別では、2.5L 直4ガソリン車がほとんどで、3.5L V6ガソリン車は30台程度。駆動方式は4WDが多く、FFは4割前後となっている。

流通量はそこそこあるが、選択肢を絞っていくと思ったよりも少ないのが現実だろう。

「スタイリッシュガラスルーフ」や「BOSEサウンドシステム」、「カーウイングスナビゲーションシステム」などはオプション装備だったので、そうした装備が付いているか否かを基準に物件を選ぶのも手だ。
 

▼検索条件

日産 ムラーノ(2代目)× 全国

※記事内の情報は2021年9月15日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/日産
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。