H2▲軍用車両にインスピレーションを受けたド迫力の外観で大人気となったハマー H2。豪華な内装や使い勝手の良さも魅力だ

ハマー H2の中古車は今

米軍の軍用車両「HMMWV(ハンヴィー)」を民生用としたハマー H1が大ヒットしたのをきっかけに生まれたハマー H2。

丸目のヘッドライト、格子状のフロントグリル、スクエアなフォルムなどはH1をデザインモチーフとしているが、基本設計はフルサイズSUVであるシボレー タホをベースとしている。

また、乗り味も内装の仕立ても、元祖ハマーとは比べものにならないくらいラグジュアリーである。

大排気量V8エンジンの野太いトルク、ゆったりとした乗り心地、全幅2mを超えるボディサイズはいかにもアメリカンSUVのそれ。

2010年に生産終了したが、中古車市場ではいまだに根強い人気がある。

流通量は140台、平均の車両本体価格は340万円。300万円台に多くの物件が集まっている状況だ。

ここではハマー H2の特徴、中古車を選ぶ際のポイントや現在の中古車相場について解説していく。
 

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H2(初代)の特徴と中古車相場

■H2 DATA
生産期間:2003年2月~2010年2月
中古車流通量:約140台
中古車価格帯:180万~700万円
全長:5171mm × 全幅:2062mm × 全高:2012mm
 

H2 ▲基本設計はコンベンショナルなアメリカンSUVのものだが、大径タイヤ、ギア比の低い副変速機、余裕のある最低地上高によって悪路走破性も決して低くはない

■H2(初代)の特徴
シボレーの人気SUV、タホのシャシーをベースに、H1をモチーフとした外観、内装に仕立てられたH2。

全幅こそH1よりもややコンパクトだが、全長、全高はそれ以上。

国産SUVとは比較にならないボディサイズ、見た目の押し出し感で一躍、ラグジュアリー層の人気者となった。
 

H2 ▲直線基調の迫力あるデザイン

ボディ構造はタホと同じく古典的なラダーフレーム式で、前ダブルウィッシュボーン式トーションバー、後5リンク・リジッド式コイルというサスペンション構成も共通のもの。

アメリカンSUVとしてはごく一般的な形式で、四輪独立懸架、ハブリダクション(ホイールの中心を車軸中心よりも上に配置して最低地上高を稼ぐ駆動形式)など独特なメカニズムを数多く採用するH1とは全く異なるコンベンショナルな設計だ。

巨体を動かすためのエンジンには、デビュー当初、6L OHVのボルテックV8ガソリンを採用。320ps(236kW)・49.8kg・m(487N・m)という強大なパワーとトルクを誇る。

こちらもアメリカンらしい、野趣あふれる味わいとなっていた。

現代のSUVに見られるような先進的なメカニズム、燃費に貢献する装備はほとんど採用されなかったが、そうした素朴さがH2の魅力でもある。
 

H2 ▲無骨な見た目に反して、乗降性や居住性は良好。大きな体躯さえ気にならなければ、普段使いできるSUVでもある

デビュー当時のグレードはシンプルで、左ハンドル・乗車定員6名の「ベースグレード」のみ。

シート配列は2-3-1という独特なもので、片側一脚のサードシート横には巨大なスペアタイヤが鎮座している。

2004年4月のマイナーチェンジでは5名乗車仕様の「タイプS」を追加。

従来の6名乗車仕様には本革内装、サンルーフが新たに装備され、「タイプG」として差別化された。それ以降の変更内容は下記のとおりだ。

■2004年10月
【インテリア】
・「タイプS」のシート生地をクロス張りからレザーに変更
・「タイプG」にラグジュアリーレザーシートを採用
・全車に車両に関する様々な情報を表示するドライバーズインフォメーションセンター、左右独立式オートエアコン、BOSE社製プレミアムサウンドを採用
【エクステリア】
・「タイプG」にクロームメッキ仕上げのアルミホイールを採用

■2005年12月
【エクステリア】
・リアスペアタイヤキャリアを装備
・アウトサイドミラーのデザインを変更
・オーバーフェンダーをリップタイプからフルフェンダータイプに変更
・ヘッドライトガーニッシュの材質および塗装を変更

■2006年12月
【エクステリア】
・「タイプG」のフューエルドア、エンジンフードハンドル、エンジンフードラッチをクローム化
・アウトサイドミラーのデザインを変更
・オーバーフェンダーをリップタイプからフルフェンダータイプに変更
・ヘッドライトガーニッシュの材質および塗装を変更

上記のように細かな変更を重ねたH2だったが、最も規模が大きかったのはデビューから4年後の2007年11月に行われたマイナーチェンジだ。

エンジン、ATのリニューアルからエクステリア、インテリアのデザイン変更、安全装備の充実など、全般にわたってリフレッシュが図られた。
 

H2 ▲デザインの変更で、よりラグジュアリーな意匠となった後期型

■2007年11月
【エンジン・トランスミッション】
・搭載エンジンを6.2L オールアルミ製V8 OHVに変更。出力を従来比20%向上。
・ATを4速から6速へと変更
【エクステリア】
・フロントグリルのデザインを変更
・シルバー塗装されたアンダーグリルを新採用
【インテリア】
・デザインを全面変更
・セカンドおよびサードシート用エアコン吹き出し口を装備
【安全性能】
・ロールオーバー制御技術を採用した新電子安定制御システムを採用
・3列シートすべてにルーフレール・ヘッドカーテン・サイドエアバッグを標準装備
 

H2 ▲2007年11月の変更では新エンジンが搭載されるとともにATも6速化。ステアリング内のボタンでシフトチェンジできるようになった

■H2(初代)の中古車相場
生産終了から10年以上経過しているが、中古車市場での流通量は約140台とまずまずの豊富さ。

多くはデビューイヤー前後に集中しており、大規模なマイナーチェンジが行われた2007年11月以降のモデルは20台強にとどまっている。

価格と走行距離、年式にはあまり相関関係が見られない。

流通量の多い総額300万円台では走行距離が5万~7万kmと少なめの物件も多く、上級装備にもかかわらず、200万円台で購入できる物件もある。

総額500万円以上の高価格帯は、カスタムモデルが中心だ。

基本設計のベースとなったのは、アメリカでかつてナンバーワン・セールスを誇った車であり、信頼性には定評あるところ。

走行距離や年式よりもむしろ、適切に整備されてきたか否かでコンディションを見極めたい。

ハイリフトなど極端なカスタマイズを経た物件は足回りや駆動系の劣化が進んでいる可能性があるため、念のため避けた方が無難だろう。

オススメのグレードは高級装備がふんだんに採用された「タイプG」。マイナーチェンジ前の6L V8エンジンでも、アメリカンらしさは十分に堪能できる。

ただし、燃費については実燃費3~5km/L程度といわれているので、相当な覚悟が必要だ。
 

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※記事内の情報は2021年9月15日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/ハマー
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。