マツダ スピアーノ ▲スズキ アルトラパンのOEMモデルとして発売されたマツダ スピアーノ

マツダ スピアーノの中古車は今

車にそこまで詳しくない人からしてみれば、あまり耳馴染みのない車名であろうスピアーノ。しかし、写真を見るとなんとなく見た気がする……と感じた人も多いのではないだろうか。

実はスピアーノはスズキ アルトラパン(初代)のマツダ版であり、いわゆるOEM供給というものを受けていたモデル。

そのため、スピアーノもアルトラパンと同じスズキの生産工場で作られており、エンブレムやグリルといった一部分のみがマツダ向けに替えられたものである。つまり、基本的なメカニズムなどは、アルトラパンと寸分違わぬ仕様となっているのだ。

ただし、グレード展開などは一部アルトラパンと異なっている点もあるため、注意が必要な部分もある。

マツダ スピアーノ ▲ステアリングのマツダエンブレムなど、見える範囲ではしっかり”マツダ化”がなされていたスピアーノ

すでに生産終了から10年以上が経過していることもあり、大半の物件が総額50万円以下で狙える状況となっている。

ここからはスピアーノの特徴や中古車相場について紹介する。

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スピアーノ(初代)の特徴と中古車相場

■スピアーノ(初代) DATA
生産期間:2002年2月~2008年11月
中古車流通量:約80台
中古車価格帯:10万~50万円
全長:3395mm × 全幅:1475mm × 全高:1495mm~1515mm

マツダ スピアーノ ▲直線的なボディラインが特徴のスピアーノ

■スピアーノ(初代)の特徴
スピアーノは、アルトラパンよりおよそ1ヵ月遅れの2002年2月に登場した軽自動車だ。

スズキ アルトのプラットフォームに、弁当箱をモチーフとした丸みのある箱型のボディを載せたデザインが特徴のモデルである。

デビュー当初は自然給気エンジンのみのラインナップで、前輪駆動とフルタイム4WDが用意され、組み合わされるミッションはコラムの4速ATとなっていた。

どことなくクラシカルで温かみのあるデザインと、自室のようにリラックスができる室内空間をもっており、若い女性ユーザーをメインターゲットとしていた。

マツダ スピアーノ ▲内装も温かみがあり、自分の部屋のようにくつろげる室内空間をもっているスピアーノ

アルトラパンとの最も大きな差異は、当時のマツダのファミリーフェイスである5角形をあしらったフロントグリルだ。

それ以外は、エンブレムや内外装のカラーバリエーションが若干異なる程度となっている。

2002年10月に、60馬力のマイルドターボを搭載した「ターボ」グレードが追加されている。このターボモデルは、グリル左下のバンパー部分にエアインテークの穴が開いているのが外観的な特徴だ。

さらに2003年9月には、64馬力を発生させるターボエンジンを搭載し、専用ローダウンサスペンションを採用したホットモデル「SS」を追加。

これはアルトラパンにも設定されていたグレードではあるが、アルトラパンにあった5速MTは用意されず、全車4速ATとなっていた他、アルトラパンSSのような丸目ヘッドライトの専用フェイスも用意されなかった。

マツダ スピアーノ ▲走行性能をアップさせたグレード「SS」

2006年4月にはマイナーチェンジを行い、丸目ヘッドライトを採用した「XF」が登場した。

また、一時ラインナップから外れていた「SS」が復活。丸目ヘッドライトを備えた専用フェイスとなっている。

マツダ スピアーノ ▲待望の丸目ヘッドライトを採用した「XF」グレード(写真)の他、SSも丸目となった

■スピアーノ(初代)の中古車相場
アルトラパンに比べ知名度が圧倒的に低いこともあり、中古車の物件数もアルトラパンが900台以上あるのに対し、80台ほどにとどまっている。

物件の平均価格で見ると、アルトラパンの21.4万円に対しスピアーノは17.6万円と若干安価。

だが、これはアルトラパンには高値で取引されているSSグレードの5速MT車や、キャンバストップ仕様車が存在しているのが大きな理由だ。

そのため、同仕様の物件であればアルトラパンでもスピアーノでも大差はなく、よほどマツダブランドにこだわりがある人でなければ、アルトラパンも並行してチェックすることをオススメする。

車両本体価格は20万円台以下が中心で、総額でも30万円台の物件が半数を占めている。

総額50万円に近いゾーンの物件は「SS」が中心となるが、中にはカスタマイズが施された中古車ベースのコンプリートカーのようなもの存在している。

手ごろな軽自動車でありながら、そこまで安っぽく見えないため人気の高いスピアーノではあるが、ピンク系など一部のボディカラーは色あせが発生しやすい。

そのため、状態を気にするのであればルーフ部分までしっかりチェックしておきたいところだ。

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※記事内の情報は2021年9月15日時点のものです。
 

文/小鮒康一 写真/マツダ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。