トヨタ プリウスα▲全高を高くすることで室内空間を拡大し、荷室スペースを広くしたプリウスα。荷室の広さを生かして3列シートも設定された

トヨタ プリウスαの中古車は今

3代目プリウス登場から2年後の2011年5月、多様なライフスタイルに応えられるように登場したプリウスα。プリウスの燃費性能や先進性はそのままに、荷室を拡大して利便性を向上させたモデルだ。

ステーションワゴン感覚で使える2列シート仕様と、7人乗車が可能な3列シート仕様の2種類が用意された。

ハイブリッドシステムは3代目プリウスと共通。プリウスが4代目となる現行型にモデルチェンジした後も継続販売され、スポーティな「G‘s」や「GRスポーツ」なども設定されながら、2021年3月まで生産された。

ロングセラーモデルということもあり、流通台数は2000台以上、総額100万円以下で狙える物件も豊富にある。

ここからはプリウスαの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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トヨタ プリウスα(初代)× 全国

プリウスα(初代)の特徴と中古車相場

■プリウスα(初代)DATA
生産期間:2011年5月~2021年3月
中古車流通量:約2350台
中古車価格帯:40万~310万円
 

トヨタ プリウスα ▲前期型は3代目プリウスのイメージを継承したデザイン

■プリウスα(初代)の特徴
ハイブリッドモデルならではの先進性、そしてなにより燃費の良さから社会現象とも呼べるほどのヒットモデルとなった3代目トヨタ プリウス。

ただ、空力性能を高めるためにトライアングルシルエットと呼ばれるルーフが大きく傾斜した形状のため、積載性はそこまで高くなかった。

プリウスにもっと荷物が積めたら。そんなニーズに応えるために登場したのがプリウスαだ。

プリウスαは、トライアングシルエットのイメージを残しながらも全高をプリウスより高くし、併せてルーフの傾斜をなだらかにしたことでリアのスペースを拡大させた。

乗車人数はステーションワゴンのように使える5人乗りと、広さを生かして3列目シートを設置した7人乗りが用意された。

2列シート車のラゲージスペースは、ゴルフバッグを4つ搭載可能な535Lの容量が確保されている。一方で、全高が1575mmまで高められたことにより、1550mmの高さ制限がある一般的な立体駐車場には入庫できなくなっている点には注意が必要だ。

パワートレインは3代目プリウスと同じ、1.8L アトキンソンサイクルエンジンを用いたハイブリッドシステム「リダクション機構付きのTHS II」を搭載。燃費はJC08モードで26.2km/Lとなっている。

上級グレードの「G」系にはプリクラッシュセーフティシステム、レーダークルーズコントロールがオプション設定された。
 

トヨタ プリウスα ▲黒を基調にして高級感を高めた「チューンブラック」のインテリア
トヨタ プリウスα ▲スエード調ファブリックと合成皮革を組み合わせた「G チューンブラック」のシート

2013年8月には、特別仕様車であるチューンブラックを「S」と「G」それぞれに設定。ブラックで統一したインテリアにより車内の質感を高めるとともに、メッキやダークシルバーの加飾により光沢感が与えられた。

「Sチューンブラック」、「Gチューンブラック」ともに、ステアリングは本革巻きで、「Gチューンブラック」はダークブラウンのステッチ入りだ。シートはスエード調のファブリックで、「Gチューンブラック」は合成皮革も組み合わされる。
 

トヨタ プリウスα ▲大きくイメージを変えた後期型プリウスα

2014年11月にマイナーチェンジが実施された。

前期型は3代目プリウスのイメージを踏襲したデザインになっていたが、このマイナーチェンジでフロントデザインを大きく変更。前衛的で抑揚感のあるスタイルに生まれ変わった。

インテリアは、合成皮革とファブリックを用いたシート表皮、合成皮革のアームレストを採用して上質感が高められている。
 

トヨタ プリウスα ▲シートは後ろになるにつれて着座位置が高くなるシアターレイアウト。これにより、後部座席でも見晴らしが良くなっている

先進安全装備は、新たに車線逸脱を検知して警告するレーンディパーチャーアラートと、オートマチックハイビームを「G」系にオプション設定。ヘッドライトは、「S」と「S Lセレクション」以外のグレードでバイビームヘッドライトが採用された。
 

トヨタ プリウスα ▲ハイグロスブラック塗装された18インチアルミホイールが渋い「G’s」。タイヤサイズは225/45/R18
トヨタ プリウスα ▲「G’s」はセンターメーターに表示される初期画面も専用のもの。赤いパワーボタンがスポーティ!

2014年12月には、GAZOO Racingのテストドライバーがトータルチューニングを施した「SツーリングセレクションG‘s」が登場。専用のスポーツサスペンションにより15mmローダウンされている。専用フロントバンパーをはじめとするエアロパーツで、スポーティな雰囲気が高められたスペシャルグレードだ。

2017年11月には、これまで上級グレードにオプション設定されていた先進安全装備が「Toyota Safety Sense P」として全グレード標準装備に変更された。 


トヨタ プリウスα ▲「GRスポーツ」は前後のバンパーに加え、グリルも専用のスポーティなものを採用。フロントシートも専用のスポーツ仕様のものが付けられている

2017年12月にはボディ剛性を高め、専用チューニングしたサスペンションを搭載した「GRスポーツ」が設定された。 


■プリウスα(初代)の中古車相場
プリウスαの中古車は流通量が多いので、予算に応じて自分の条件に合うものを探しやすい。

乗車人数別に見ると、流通している中古車の約8割が2列シートの5人乗りとなっている。そのため、3列シート車狙いであれば、まずは前・後期にこだわらず探した方が条件に合った物件を選びやすいだろう。

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トヨタ プリウスα(初代)× 3列シート × 全国

デザインが3代目プリウスに近い前期型は1650台ほど流通しており、最安値帯は総額50万~70万円となっている。このゾーンは走行距離10万km前後の物件が多いが、選択肢は豊富だ。

予算を90万円までアップできれば、走行距離5万km前後の物件を見つけることができる。

いずれの価格帯でも「S」系と「G」系のグレードで大きな価格差はないため、装備充実の「G」系から狙ってみるといいだろう。内装を豪華にした特別仕様車のチューンブラックも一定の流通量があり、探しやすくなっている。

また、総額160万円以上の高価格帯では、リフトアップしてオールペンを施したものや、逆にローダウンしてスポーティさを強調したショップカスタムモデルが見つかる。人気モデルゆえ街中で多く見かけるプリウスαだが、見た目で差別化をしたいならこのあたりをチェックしてみるのもオススメだ。

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トヨタ プリウスα(初代) × 前期型 × 全国

一方で、デザインが大きく変わった2014年11月以降の後期型は、700台ほど流通している。

前期型より新しいこともあり、最安値帯である総額90万~110万円のゾーンでも走行距離が10万kmを超える物件は少なめ。走行距離5万km以下なら、予算の目安は140万円ほどとなる。

オススメは上級グレードである「Gツーリングセレクション」だが、流通量は25台と少ない。選びやすいのは流通量の多い、ベーシックの「S」(約200台)や「Sツーリングセレクション」(約110台)になる。

GAZOO Racingが手がけた「SツーリングセレクションG’s」は約100台が流通していて、総額160万円から探すことができる。

一方で、「GRスポーツ」は20台ほどしか流通しておらず、価格帯も総額230万~300万円超と高値安定だ。新車販売が終了していることから、これらのスポーツグレードの中古車がドッと増えることは考えにくい。狙いを絞って即断即決の構えで挑もう。
 

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トヨタ プリウスα(初代) × 後期型 × 全国

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トヨタ プリウスα(初代)× 全国

※記事内の情報は2021年7月8日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/トヨタ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL