トヨタ エスティマハイブリッド▲写真はエスティマハイブリッド。燃費の良さもさることながら、ほぼ2tという重量にもかかわらず軽快に加速するのはエンジン+モーターのダブルパワーの恩恵だ

みんなで出かけるミニバンは、やっぱり低燃費がいい!

大人数で乗れるミニバンを買ったら、目的地では思いっきりみんなでキャンプやスノーボード、スキーなどのアクティビティを楽しみたい。だからなるべく移動にかかるお金は節約したい……と感じる人は多いはず。

そんなときの狙い目となるのが、ハイブリッドシステムを搭載した燃費の良いミニバンだろう。

電気モーター+エンジンというハイブリッドシステムを、量産車として初めて採用したのが1997年に登場した初代トヨタ プリウス。2001年にはミニバンとして初めてトヨタ エスティマに、2003年にはトヨタ アルファードにも採用された。

一方、プリウスに遅れること2年、初代インサイトを開発したホンダだけど、ミニバンに初めてハイブリッドを搭載したのはそれから10年以上たった2011年。そして、翌2012年には日産も続いてミニバンにハイブリッドモデルを追加した。

このように、一時はトヨタしかハイブリッドミニバンを用意していなかったのだが、2011年以降ようやく他社のモデルも選べるようになり、中古車の数も増えてきている。

中古でも人気が高いカテゴリーのためガソリン車と比べると少し価格は高めだが、それでもようやく支払総額100万円以下で十分選べるようになってきた。

そこで今回は、総額100万円以下で狙えるハイブリッドミニバンの中から、中古車台数が多く選択肢の豊富な3台を紹介しよう。

焼き肉プレートも使えるなど使い勝手もバツグン!
トヨタ エスティマハイブリッド(2代目)

トヨタ エスティマハイブリッド▲両側パワースライドドアや、リアゲートのイージークローザー機能が用意された。2009年のマイナーチェンジでフロントグリルが変更された(写真は2009年12月のマイナーチェンジ時)
トヨタ エスティマハイブリッド▲2列目シートがセパレートの7人乗りと、ベンチシートの8人乗りがある。7人乗りの2列目シートにはオットマン機能が備わり、最大800mmのスライドが可能。3列目シートは床下に収納できる。写真は2009年12月のマイナーチェンジ時

ミニバン初のハイブリッドである初代に続き、2006年に登場した2代目エスティマハイブリッド。2.4Lガソリンエンジン+2モーターのTHS IIと呼ばれるハイブリッドシステムを搭載し、当時のコンパクトカーに匹敵する20.0km/L(10・15モード)という低燃費を誇る。

しかも、エスティマハイブリッドの魅力は低燃費だけにとどまらない。まず大容量ニッケル水素バッテリーを活用したAC100V/1500Wコンセントを標準装備しているため、ドライヤーや焼き肉プレートなど多くの家電を使える点だ。くしくも2011年の東日本大震災で同車が活躍したことをご存じの人もいるだろう。

もうひとつの魅力は、全車に採用された電子制御式4WDシステム「E-Four」だ。前と後ろのモーターを活用して、走行状況に応じて前輪のみの低燃費走行や、滑りやすい路面でも前後輪の適切な駆動力配分によって安定した発進や走行を可能にしてくれる。

デビュー時の車両本体価格は363万3000~447万円。原稿執筆時点(2020年12月7日)で見ると、支払総額100万円以下で約100台見つかった。

ミニバンゆえ長距離を乗ることも多いため、その多くは走行距離10万km超だ。使い方による程度の差も、選ぶ際のポイントにしよう。

▼検索条件

トヨタ エスティマハイブリッド(2代目)×総額100万円以内×全国

室内やラゲージの広さ、シートアレンジはガソリン車と同じ
日産 セレナ(4代目)

日産 セレナ▲ヘッドランプにブルーレンズが入り、ガソリン車との差別化が図られている。2013年12月のマイナーチェンジで衝突被害軽減ブレーキが全車(20Sを除く)に標準装備された。
日産 セレナ▲セレナは全車8人乗りのみだが、2列目シートの中央部を1列目へ動かして、2~3列目のウォークスルーを可能にしたり、このときに真ん中の空いた2列目シートを寄せて、助手席側スライドシートの方から3列目へのアクセスを容易にできる

2010年に登場した4代目セレナに、ハイブリッドモデルが追加されたのは2012年。ただし、上記トヨタのTHS IIのようなハイブリッドではなく、いわば簡易なハイブリッドで、同社は「スマートシンプルハイブリッド=S-HYBRID」と呼んでいる。複雑な機構や大容量バッテリーが不要な分、室内空間を犠牲にすることがなく、価格も抑えられるというメリットがある。

発進時や加速時にはエンジンに大きな負荷がかかるが、このときにモーターが助けることでエンジンの負荷を軽減し、低燃費を実現するシステムだ。また、アイドリングストップ時にはバッテリーから電力を供給するので、エンジンが止まっていてもエアコンが使える。バッテリーへは減速時のエネルギーを電気エネルギーに変える、回生機能によって充電する。

搭載されるエンジンは2Lガソリン。これにCVTが組み合わされ、燃費は15.2km/L(2WDのJC08モード)。2WDと4WDがあり、スポーティなエクステリアのハイウェイスターにもS-HYBRIDが設定された。2013年のマイナーチェンジで燃費は16.0km/L(2WDのJC08モード)に改良されている。

デビュー時の車両本体価格は238万4550~279万9300円。原稿執筆時点で見ると支払総額100万円以下で200台以上見つかり、走行距離は5万km以上10万km未満が半数を占める。

▼検索条件

日産 セレナ(4代目)×ハイブリッドモデル×総額100万円以内×全国

5万km未満も狙える、街乗りに便利なサイズ
ホンダ フリードハイブリッド(初代)

ホンダ フリードハイブリッド▲ハイブリッドモデル特有の騒音を抑えるため、遮音性能の高いフロントガラスなどが採用されている。同社得意の低床フロアにより、2WDのフロア高は390mm。ハイブリッドモデルにはブルーの入った専用グリルが備わる
ホンダ フリードハイブリッド▲こちらは2列目が2人乗りとなる6人乗り仕様。使い方に合わせたシートアレンジが可能

2008年に登場したコンパクトミニバンのフリードに、ハイブリッドモデルが登場したのは2011年のマイナーチェンジの時。1.5Lエンジン+モーターにCVTが組み合わされた。JC08モード燃費は21.6km/Lで2WDのみとなる。

発進時や加速時などにモーターがエンジンをアシストし、力強い加速が得られ、一定状況下ではモーターのみでも走行する。ただし、EVモードの設定はない。

この時のマイナーチェンジでは、同時に3列目シートが3席から2席に変更された。それによりフリードの乗車定員は従来の7人 or 8人仕様から6人 or 7人乗り仕様となっている。

バッテリーを3列目シート下に収めるが、ガソリン車と同等の室内の広さやシートアレンジが確保されているのが特徴。3列目シートを左右に跳ね上げれば、2列目はそのままで27インチの自転車を積めるほど、見た目以上に車内の空間は広い。2列目シートも畳めばさらに広く、奥行き1445mmの大空間をつくることもできる。

デビュー時の車両本体価格は214万9000~232万6500円。原稿執筆時点で見ると支払総額100万円以下で200台以上見つかる。多くは走行距離5万km以上10万km未満だが、5万km未満の中古車も狙える。

▼検索条件

ホンダ フリードハイブリッド(初代)×総額100万円以内×全国
文/ぴえいる、写真/尾形和美、トヨタ、日産、ホンダ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。