Q.駐車場がないので、とりあえず友人の家で車庫証明書を取りました

車の購入をしようと商談を進めていたのですが、駐車場を確保できませんでした。とりあえず友達の家を名義上借りて「車庫証明書」だけ取って、購入後にゆっくりと探そうと思います。これって問題ないですよね?

A.自動車保管法によって罰せられる可能性があります

駐車場に関しては「自動車の保管場所の確保等に関する法律」によって定められています。まず、自宅住所から2kmを超えないこと。そして、車を支障なく出入りさせることができて、かつ、その全体を収容できること。最後に、自己所有または賃貸契約などにより保管場所として使用する権限をもっていること。この3つを満たして、はじめて駐車場を保有していると認められ、書庫証明書が発行されます。なお、車庫の新規届け出・変更届け出をしない場合、または虚偽の届け出をした場合は、10万円以下の罰金が科せられます。

相談のケースの場合、上記3点を満たしていれば問題はありません。ただ、友人の家が2km以上離れていたり、駐車場に友人の車があって、他の車を駐車できない状態の場合は、車庫証明書を取ることはできません。相談には、名義上という言葉がありますが、もし、友人の車を一旦別の場所に移して、友人の駐車場を自分の駐車場と見せかけて車庫証明書を取ったり、またその車庫証明書を不正に使用したりした場合は、公正証書原本不実記載及び偽造公文書行使等の罪に問われることも考えられます

ちなみに、軽自動車には車庫証明がいらないと勘違いをしている方がいるかもしれません。これは間違いで、東京や大阪の中心から30km圏内にある市、県庁所在地の市、人口10万人以上の市などは届け出の必要があります。また、車庫証明が必要ない地域でも、購入から15日以内に車の保管場所を管轄の警察署に届け出なければなりません。届け出をせず、または虚偽の届け出をした者は、10万円以下の罰金が科せられます。
第94回:とりあえず友人の家で車庫証明を取ったら!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

車庫証明書(しゃこしょうめいしょ)
正式名称は「自動車保管場所証明書」。運輸支局で、自動車の新規、移転および変更登録に必要な書類。保管場所(車庫)の所在地を管轄する警察署へ申請をする。申請書は交通課の「車庫証明窓口」に提出し、手数料は2000円程度
公正証書原本不実記載(こうせいしょうしょげんぽんふじつきさい)
公務員に対し虚偽の申し立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利もしくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせる罪。5年以下の懲役、または50万円以下の罰金。また、不実に記載した原本を使用した場合は、偽造公文書行使の罪に問われる