Q.以前出してもらった見積もりが変わってしまった
    納得いかないのですが、どうすればいいですか?

以前出してもらった見積もりを持って販売店へ。いざ購入と思っていたのですが、「相場が上がったので、この見積もりの金額ではもう売れません」とのこと。一度出した見積もりなのに、価格が変更になるなんて納得いきません。法律的に問題はないのですか?

A.見積もりの有効期限内であれば
    その金額で購入できるでしょう

原則として見積もりで出した金額は守るべきでしょう。ただし、一度見積もりを出せば、永久に見積もりが有効というわけではありません。ほとんどの場合は、見積もりには有効期限が定められています

見積書をよく見ると、「○月○日まで有効」「見積もり提出後1週間以内有効」などの但し書きがしてあるはずです。この期限を過ぎると見積もりに効果はありません。逆に言うと、期限内であればなんらかの事情でその車の相場が上がっても、見積もりの金額で購入できると考えてよいでしょう。

例えばこんな相談がありました。『整備をしていて欠陥が見つかったので、修復すると見積もりよりも価格が高くなる』。この場合は払うべきか? 払わなくてよいのか?当然、払う必要はありません。この場合、販売店は修復で別途料金がかかる可能性を事前に伝えておく必要があります。では、事前に別途料金の件が伝わっていれば、払う必要があるのか? そんなことはありません。欠陥が見つかった時点で、そもそもの契約条件と異なるので解約が可能です

気をつけなくてはいけないのは、「見積もりを取る=その車を取り置きする」ではないということ。見積もりをもらった翌日、その車を購入しに販売店に出向いたら売れていたということもあり得ます。見積もりを見て、欲しいけれど一晩考えたいというときには、申込証拠金を払っておくことを忘れないでください。これは、ひやかしではない証明として、車の購入の優先権を確保するために支払うお金です。本来は「売買契約の内金として譲渡します」といった旨の預り証を出してもらえるはずです。契約に至らなかった場合は返却されます。

第31回 法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

申込証拠金(もうしこみしょうこきん)
一般的には「手付け金」と呼ばれることが多いが、正式には「申込証拠金」と呼ぶ。購入申し込みの意思表示をする際に、優先して購入するための権利を確保する目的で売り主に対して預ける金銭。ただし、この時点で契約が成立するわけではないので、購入申し込みの意思表示が撤回された場合は全額返還される。