Q.販売店が火事で全焼。納車前の買った車も燃えてしまった。代金を返してもらうことはできる?

登録も終わり、いざ納車といった段階で販売店が火事で全焼。車も燃えてしまいました。契約を解除して代金を返してもらうことはできますか?

A. 火事の原因と責任によって、弁償してもらえる場合と弁償してもらえない場合があります。場合によっては、商品がなくても、代金を支払う可能性も

火事の原因の責任が販売店にある場合には、販売店は損害賠償債務を負うことになるでしょう。この場合、車は燃えてしまっているので、契約は解除となり代金を返還してもらうことができます。ただし、販売店が火事ですべてを失い破産してしまっていたら、問題は簡単ではありません。購入者(債権者)は破産手続で債権額の一部を配当で受けることになりますが、資産が無い場合は配当すらない可能性もあります。

逆に、火事の原因が放火や延焼で販売店に責任がない場合は、車が燃えてしまっていても代金を支払う義務があります。これは、民法による「債権者の危険負担」に当たり、『特定物(中古車はこの世に1台しかないので特定物となる)を目的とした双務契約ならば、契約締結以降は債権者(この場合は購入者)が危険を負担する』と定められています。

ちなみに、 「債権者の危険負担」は任意の規定なので、特約によりこの条文の適用を外すこともできます。どうしても気になるなら、販売店に相談をして契約書に一筆書いてもらうなどしておきましょう。

ここがポイント!

販売店に責任がない状況で、購入した中古車が壊れた場合、納車前であっても購入者は代金を支払わなくてはいけない

■使える法律用語■

債権者の危険負担
民法第534条に定められている。契約成立以降に債務者の責任とはいえない理由で特定物が減失や損傷した場合、債権者の負担となる