トヨタ アルファード ▲何かとかなり魅力的な現行型トヨタ アルファードですが、新車価格はエントリーグレードでも540万円に上昇。さすがにちょっとキツい部分もあるため、その半額ぐらいで買える「魅力的な代替品」を探してみることにしましょう!

新車価格は約540万円、乗り出し価格は約600万円!

2023年6月に発売された現行型トヨタ アルファード。言わずと知れたラージサイズミニバンの超人気モデルであり、新世代プラットフォームの採用により世界基準となった走りの質や、なんともしゃれた内外装デザイン、そしてさらにゆとりを増した室内空間など、その商品力は旧型と比べて格段に向上している。

しかし、すべてのレベルが向上した分だけ車両価格の方も“向上”。旧型エントリーグレードの2021年5月時点における車両価格は359万7000円だったが、現行型アルファードのエントリーグレードである「Z(ガソリン 2WD)」は540万円。エントリーグレードを基準にして考えると、トヨタ アルファードの価格は約1.5倍になってしまったことになる。

……540万円の現行型エントリーグレードを新車で買おうとすると、オプション装備と諸費用を合わせて590万円ぐらいにはなる計算。まぁキリのいいところで「新車のエントリーグレードは総額600万円!」だと仮定すると……正直ちょっと予算的にキツい。もしもミニバンを買うならその半額ぐらい、つまり「総額300万円前後」で買いたいというのが本音である。

しかし物事というのは「安けりゃ何でもいい」ということには決してならない。そのため、できることなら「現行型アルファードの半額ぐらいで、しかし現行型アルファードと同等程度に満足できるミニバンが欲しい」というのが本音オブ本音である。

だが……そんな虫の良い話が世の中に転がっているのだろうか?

以下、真剣に探してみることにしよう。
 

トヨタ アルファード▲コレを買うに越したことはないのかもしれませんが、まあとにかく探してみましょう!
 

代替案①:旧型トヨタ アルファードの純エンジン車を買う

現行型トヨタ アルファードの代わりとして最も順当な選択肢は「旧型アルファードの中古車を買う」ということだろう。旧型アルファードであれば、もちろん諸性能や装備内容等々は現行型より劣る部分はあるものの、「おおむね似たような感じではある」とも言えなくはないサイズ感と諸性能を、現行型エントリーグレードの約半額すなわち総額300万円前後の予算で獲得できる。
 

トヨタ アルファード▲こちらが旧型トヨタ アルファードの前期型

具体的には、総額300万円前後で狙える旧型アルファードは「走行3万~4万km台の前期型(2015年1月~2017年11月生産)ガソリン車」だ。ハイブリッド車はこの予算だと少々難しいが、2.5Lガソリンエンジンの前期型XまたはS、あるいはS Aパッケージを中心におおむねイケる。

もちろん、先ほども申し上げたとおり現行型よりも劣る部分は多いわけだが、旧型であってもアルファードはアルファード。「十分な広さ」と「ゴージャスさ」「快適性」「たたずまいの良さ」などは確実に味わうことができるはずだ。
 

トヨタ アルファード▲写真は最上級グレード「エグゼクティブラウンジ」のものだが、旧型アルファードの運転席まわりはおおむねこのようなニュアンスのデザインと世界観

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トヨタ アルファード(3代目) × 2015年1月~2017年11月生産モデル×ガソリン車×全国

しかし――同じトヨタ アルファードの旧モデルだと(しかも旧型の前期型だと)、どうしてたって現行型と比較してしまうというか、信号待ちで隣に新型アルファードが来たときなどに「うぐぐぐ……できれば自分も新型が欲しかった……」などと感じてしまうリスクはあるだろう。

そのため「総額300万円前後で旧型アルファードのガソリン車を買う」という選択肢はいちおう残しつつ、別の可能性も検討してみることにしたい。
 

 

代替案②:現行型ホンダ オデッセイのハイブリッド車を買う

本来であれば総額600万円級のモノを総額300万円級の予算で買い、なおかつ、総額600万円級のモノを買った場合と同程度の満足を得たい――と考える場合、同カテゴリーの範囲内で時間軸をさかのぼり、「1世代前の中古品を狙う」というのも順当な作戦ではある。

だがそれは同カテゴリーの商品であるだけに、「新旧の如実な実力差」がかえって目立ってしまう結果にもなりやすい。

そのため半値の予算で同程度の満足を得たいのであれば、縦方向に移動する=同じモノの古い型を探すのではなく、「微妙に横方向へ移動する=考え方の軸を少しズラしてみる」という方策をとった方が、結果としての満足は得やすいのではないか?

そう仮定したときに有力な選択肢となるのが「現行型ホンダ オデッセイ」だろう。
 

ホンダ オデッセイ▲こちらが現行型ホンダ オデッセイ。写真は2017年11月のマイナーチェンジを受けたハイブリッド アブソルート

ご承知のとおり現行型となる5代目オデッセイはホンダの最上級ミニバンで、いわゆるラージサイズミニバンに属するモデルだが、トヨタ アルファードと比べればやや小ぶりな寸法となる。

そのため「アルファードはあの“大きさ”が魅力なのだから、小ぶりじゃダメじゃん! 意味ないじゃん!」とおっしゃる人もいるだろう。確かに、そのとおりな部分はある。

だが同じアルファードの旧モデルを探すのではなく、「少しだけ小ぶりなラージサイズミニバン」へと検討の軸を移動させることで、我々は「優秀なハイブリッドシステム」を得ることが可能になる。

総額300万円前後で探せる旧型トヨタ アルファードは、前述のとおり2.5Lの純ガソリンエンジン車がほとんど。しかし現行型ホンダ オデッセイであればほぼ同じ予算で、2モーター式のハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」搭載グレードを狙えるのだ。

直近ではe:HEVという呼称に変わっているが、このSPORT HYBRID i-MMDというのはきわめてゴキゲンなハイブリッドシステムである。とにかくパワフルで、とにかく静かで、そして燃費もよろしい。ハイブリッドのオデッセイで旧型アルファードと同等の「車内の圧倒的な広さと存在感」という喜びを得ることはできないが、それとはベクトルが異なる「パワーユニットがかなり素敵!」という喜びを、ユーザーは得ることができるのだ。
 

ホンダ オデッセイ▲オデッセイのハイブリッド車は、「駆動用」と「発電用」の2つのモーターを搭載し、さらに高効率な2Lエンジンを組み合わせることで強力なパワーと痛快感、そして低燃費性能を同時に実現させる「SPORT HYBRID i-MMD」を採用
ホンダ オデッセイ▲さすがにアルファードほどではないが、それでも車内は十分広い。そして低床に設計されているため「乗り降りがしやすい」という美点もある

低床設計ゆえ「とにかく車内が圧倒的に広くて高いミニバンが欲しい」という人には向かないが、現行型オデッセイも決して小さなミニバンではないので、特段の不自由は感じないはず。

総額300万円ちょいの予算で走行3万km前後の、アダプティブクルーズコントロールの対応速度が30km/h以上から「全車速」に改善された2018年式ハイブリッド アブソルート ホンダセンシングも見つけることができる。
 

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ホンダ オデッセイ(5代目) × ハイブリッド車×全国
 

代替案③:三菱 デリカD:5の4WDディーゼルターボ車を買う

「軸を少しズラしてみる」という探し方を適用した場合は、三菱 デリカD:5も現行型トヨタ アルファードの有力な代替案になり得る。
 

三菱 デリカD:5▲こちらが三菱 デリカD:5。2019年のビッグマイナーチェンジ前は、このようなデザインのシンプルなフロントマスクだった
三菱 デリカD:5▲2.2 D パワーパッケージの車内。写真では見えていないが、2列目シートの向こう型に程よいサイズの3列目シートが配置されている

三菱 デリカD:5は2007年にデビューし、今なお新車の販売が続いているミニバンの超ロングセラー。特にその4WDモデルは本格SUVにも匹敵する悪路走破性能を有するということで、アウトドア系のアクティブな趣味に打ち込んでいるユーザーからは圧倒的といえるほどの人気を博している。

このデリカD:5もやや大柄な3列シートミニバンではあるものの、現行型トヨタ アルファードと比べれば小ぶりであるため(具体的には約26cm短く、約5cm幅が狭い。高さもアルファードの方が6cmほど高い)、そこが現行型アルファードと比べた場合の弱点ではある。また現行型アルファードで顕著な「高級感」みたいな部分も、デリカD:5はさほど強い車ではない

だがその代わり三菱 デリカD:5の4WDモデルには――アルファードよりは狭いとはいえ十分な車内の広さがあることはもちろんとして――圧倒的なまでの「アクティブなイメージ」と「実際、かなりアクティブに使える諸性能」がある。それは間違いなく新旧アルファードにはない個性と能力だ。
 

三菱 デリカD:5▲デリカD:5の4WD車はダートや雪道などを確実に無理なく走れる車であるだけでなく、「そういったシーンが似合う車」でもある

総額300万円前後で狙える三菱 デリカD:5の4WD車は、走行3万km台ぐらいのディーゼルターボエンジン搭載グレード。これを手に入れれば、それなり以上の車内の広さと実用性、そしてディーゼルターボエンジンゆえの力強さと経済性を堪能できるのは当然として、それに加えて「アクティブで素敵なライフスタイル」までも獲得できる可能性が高い。やや大げさに言うなら「人生が変わる可能性を秘めた車」なのだ。

それゆえ、現行型トヨタ アルファードの代役としては「ある意味十分以上の存在」といえるのではないだろうか。
 

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三菱 デリカD:5(現行型・初代) × ディーゼル×4WD×全国
 

代替案④:超本格オフローダーのトヨタ ランドクルーザー200を買う

ここまでは3列シートのミニバンに限定して「現行型アルファードの代わり」について検討してきた。だがよく考えてみれば、わざわざミニバンに限定して考える必要はないのかもしれない。

なぜならば、現行型トヨタ アルファードという車の魅力の本質は「ゴージャスなこと」と「車内が広いこと」「7~8人が乗車できること」であり、それと同じ魅力ないし能力を有する車でさえあれば、ボディタイプ的には必ずしもミニバンである必要はないとも考えられるからだ。

であるならば、「新車のアルファードの約半額で買えて、しかしおおむね同程度満足できる車」としては「トヨタ ランドクルーザー200」もアリなのではないか?
 

トヨタ ランドクルーザー200▲現行モデルであるランドクルーザー300の前身にあたる「トヨタ ランドクルーザー200」

ご承知のとおり歴代のトヨタ ランドクルーザーは世界を代表する超本格オフローダーのひとつだが、100系/200系/300系と呼ばれる系統は、本格オフローダーとしての能力に加えて「高級車としての素養」も加えられたシリーズ。現在新車として販売されているその系統は「ランドクルーザー300」だが、ここで取り上げるランドクルーザー200は1世代前の、2007年から2021年まで販売されたモデルだ。

これであれば、まぁ「背の高さ」についてはどうしたってアルファードには敵わないが、「ゴージャスさ」や「ブランドイメージの高さ」についてはアルファードと互角または互角以上。そしてランドクルーザー200は基本的には3列シートの8人乗りなので、「7~8人が乗車できる」という部分においても何ら問題はない。またランドクルーザー200の車内全体は普通に広く、3列目シートもまあまあ広いので、「車内が広い」という点についても(高さ以外は)アルファードと比べてさほど遜色はない。
 

トヨタ ランドクルーザー200▲上質なレザーシートが心地よいランドクルーザー200の車内。またキャビン全体もSUVとしてはかなり広く、3列目シートの空間にも余裕がある

総額300万円付近で狙えるランドクルーザー200は、2007~2011年式あたりの物件。走行距離が10万kmを超えている個体も多いが、ランドクルーザーは一般的に言って20万kmぐらいまでは特に問題なく走れるタフな車だ。それゆえメンテナンス履歴が良好で、なおかつ内外装などのコンディションも良好な中古車に限定して探すようにすれば、走行距離が10万kmを超えている中古車でも、特に問題ない場合は多いだろう。
 

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トヨタ ランドクルーザー200 × 全国
 

代替案⑤:いっそ逆輸入のフルサイズSUV・トヨタ セコイアを買う

ここまでは国内市場に限定して「現行型アルファードの代わり」について検討してきた。だがよく考えてみれば何かとグローバルな今の時代、わざわざ国産車に限定して考える必要はないのかもしれない。

であるならば、例えば北米トヨタがアメリカで製造販売している「トヨタ セコイア」という8人乗りのフルサイズSUVも、現行型アルファードの代わりとして十分に機能する可能性は高い。
 

トヨタ セコイア▲こちらがトヨタが北米で販売している8人乗りフルサイズSUV「トヨタ セコイア」の2代目モデル
トヨタ セコイア▲比較対象物がないためその大きさが伝わりづらい写真だが、全長5210mm×全幅2029mm×全高1956mmという相当な巨体。インパクトと存在感は現行型アルファード以上だろう

トヨタ セコイアは、日本ではかなり大きく見えるランドクルーザー200よりもさらに大柄なSUV。2008年から2022年まで販売された2代目セコイアのスリーサイズは全長5210mm×全幅2029mm×全高1956mmで、これは現行型アルファードより「21cmほど長く、18cmぐらい幅広い」ということになる。背の高さは2cmほどしか違わないが、「日本では見慣れないトヨタマーク付きの巨大なSUVである(しかも左ハンドル)」という部分もあわせて、インパクトと存在感は十分。いや「十分以上!」と言うべきか。

流通の中心となっている搭載エンジンは排気量5.7LのV8DOHCというド迫力ユニットで、なんともアメリカンな鷹揚さを、日本にいながらして味わえる。そして車内の広さや乗車人数(8人)においても申し分なく、ラダーフレームを採用するSUVだが四輪が独立しているサスペンションを採用しているため、乗り心地も良好だ
 

トヨタ セコイア▲デザインテイストは国内のトヨタ車とそう大きくは変わらないが、左ハンドルであるという点がインパクト大。慣れないうちは不便に感じる左ハンドル車ではあるが、慣れてしまえば、意外と普通に運転できてしまうものだ
 

これの状態良好な逆輸入車を総額300万円前後で手に入れ、フルノーマルで乗ってもいいのだが、自分好みのしゃれたカスタマイズを軽く施しながら乗り回す毎日は――5.7Lエンジンゆえの税金の高さはさておき――現行型トヨタ アルファードに乗る毎日に負けず劣らずステキだと思うのだが、いかがだろうか?
 

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トヨタ セコイア (2代目)× 全国
文/伊達軍曹 写真/尾形和美、トヨタ、ホンダ、三菱自動車

※記事内の情報は2024年2月6日時点のものです。

伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

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