プリウス▲トヨタの新しい車づくりの指針であるTNGA第1弾モデルとなった4代目となる50プリウス。その特徴を解説します

50プリウスを徹底解説! どんなモデル? いくらで狙える?

初代プリウスが登場してから20年を迎える直前にデビューした4代目プリウス(50系)。

大きな変革を成し遂げた50プリウスはどんなモデルだったのか? また、中古車はいくらで買えるのか?解説します!
 

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【概要】50プリウスってどんなモデル?

プリウス ▲ボディ剛性が大きく向上し、乗り心地が飛躍的によくなった

2015年9月にアメリカ・ラスベガスで世界初披露され、日本でも同年の東京モーターショーで大々的に披露された4代目プリウス。「Beautiful Hybrid(美しい地球・美しいクルマ)」をコンセプトに開発された本モデル最大のトピックは、トヨタの新しい車づくりの指針であるTNGA(Toyota New Global Architecture)の考えがいち早く盛り込まれたことでした。

TNGAとはパワートレインとプラットフォームを一体的に開発して「走る・曲がる・止まる」という車の基本性能を向上させる取り組み。現在ではトヨタの多くのモデルでTNGAの考え方が取り入れられています。

プリウス ▲低重心パッケージにより走りも大きく進化

燃費性能は、個別の改善ではなくシステム全体で小型化・軽量化を図り、JC08モードで40.8km/L(Eグレード。その他のグレードは37.2km/L。4WDは34.0km/L)という驚異的な数値を実現しました。

ハイブリッドシステムをはじめとする重量物を車の低い位置に配置した低重心パッケージと約60%も向上したボディねじり剛性により、走行性能も大幅に進化。多くの車に試乗しているジャーナリストだけでなく、一般の人でも走り出した瞬間から違いに気づくほど、しっとりとした乗り味になりました。

低重心化はデザインにも大きく寄与しました。低く構えたスタイルによりスポーティなイメージを実現。4代目プリウスに付けられたトヨタのフロントエンブレムの高さが、スポーツモデルである86と同じであることからも、その低さがわかるはずです。

プリウス ▲4WDが選べるようになったことで、雪国で暮らす人もプリウスを選びやすくなった

また、4代目プリウスに初めて4WDが設定されたのも大きなトピックでした。前輪を駆動する従来のハイブリッドシステムに加え、後輪をモーターで駆動し発進をアシストするE-Fourシステムにより、雪道など滑りやすい路面でも安定感のある走りを実現しました。

先進安全装備は歩行者検知機能付きの衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、全車速追従機能付きのレーダークルーズコントロール、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームがセットになった「Toyota Safety Sense P」がAとAプレミアムに標準装備されました(EとSはメーカーオプション)。

プリウス ▲プリウスよりも高級感を高めたプリウスPHV

2017年2月にはプラグインハイブリッドモデルであるプリウスPHVがフルモデルチェンジ。プリウスよりも高級感のあるデザインと装備で、プリウスとの差別化を図ったのが特徴です。電気の力のみで走るEV走行距離は68.2kmまで延びました。

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2018年12月にはマイナーチェンジが行われ、外観デザインが大きく変わります。また、コネクテッドサービスが利用できるようになり、安全装備は全グレード標準装備になりました。
 

プリウス ▲後期型は先進安全装備が全グレード標準装備になった
 

【注目ポイント】50プリウスの前期と後期の違いはこれ!

2018年12月、4代目プリウスはマイナーチェンジを行いました。ここで外観デザインを一新する大規模な改良が加えられています。

プリウス
プリウス ▲上が前期型で下が後期型。マイナーチェンジで大きくデザインが変わった

スポーティ路線にかじを切り、アバンギャルドなイメージになった4代目プリウスは新しいファンを獲得しました。一方で、長年プリウスを乗り継いできた人の中には「デザインが派手になって選びづらくなった」と考える人もいたようです。マイナーチェンジでのデザイン変更はそんな声に対応するためだったといわれています。

プリウス ▲AプレミアムとAには大型のタッチディスプレイがオプション設定された

他にも、マイナーチェンジを果たした後期型の主な変更点は以下のとおりです。

■グリルやバンパー、ランプ類などのデザイン変更
■ホイールのデザイン変更
■インストルメントパネルやフロントコンソールトレイなどにブラック加飾を採用
■ボディカラーにブルーメタリック、エモーショナルレッドIIを新設定
■『ツーリングセレクション』にボディ同色カラーとブラックの幾何学調ルーフフィルムをあしらったカラーリングを採用
■専用通信機DCMを全グレードに標準搭載し、3年間無料でT-Connectサービスが利用可能に
■AプレミアムとAに11.6インチフルHD静電式タッチディスプレイをオプション設定
■衝突回避支援パッケージであるToyota Safety Senseを全グレードに標準装備
■駐車場などから後退する際に左右後方から接近してくる車両を検知し、ドアミラー内のインジケーターの点滅とブザーにより注意を喚起するリヤクロストラフィックアラートをオプション設定
■フロントコンソールトレイ内に設置された『おくだけ充電(ワイヤレス充電)』のスペースを拡大し、大型スマートフォンにも対応
■背もたれ面と座面からシート表皮の熱気やエアコンの冷風を吸い込むことで冷涼感をもたらす吸い込み方式のシートベンチレーションを前席に採用
 

 

【ラインナップ】50プリウスは4種類のグレードを設定

プリウス ▲最上級グレードとなるAプレミアムツーリングセレクション

4代目プリウスには大きく分けて、E、S、A、Aプレミアムという4種類のグレードがありました。

■E:燃費性能を追求したグレード
■S:基本装備を充実させた標準グレード。先進安全装備はオプション設定(前期型)
■A:先進安全装備が標準装備になるグレード
■Aプレミアム:本革シート、運転席8ウェイパワーシート、ナノイーエアコンなどが備わる上級グレード

さらにS、A、Aプレミアムには17インチアルミホイール、合成皮革シート(Aプレミアムは本革)、前席の快適温熱シート(Aプレミアムは標準装備)などが備わるツーリングセレクションが設定されました。

また、Eを除くグレードには4WDも設定されています。
 

 

【サイズ・外装】抑揚感のあるボディデザインを採用

プリウス ▲全高が先代よりも低くなったのが横からのシルエットでわかる

50系プリウスのボディサイズは全長4540×全幅1760×全高1470(4WDは1475)mm。先代より全高が低くなり、見た目からも低重心でスポーティな印象を受けます。ホイールベースは2700mmで、先代と同じ数値になります。

デザインコンセプトは『ICONIC Human-tech』。ボディ形状は2代目以降のプリウスが採用してきたトライアングルシルエットを継承しつつ、ボディラインには抑揚が与えられてアグレッシブなイメージになりました。

サイドから見た際のおむすび型の頂点は先代から170mmも前方に移されています。そしてリアスポイラーの高さが先代より55mm下げられました。これにより走行時に後ろの方へスムーズに空気を流すことができるようになっているそうです。
 

 

【内装・荷室・装備】温かみのあるインテリアを採用

プリウス
プリウス ▲広々としたインパネ。シート地はグレードにより、本革、合成皮革、ファブリックが設定される

エモーショナルさを感じさせる外観に対し、インテリアは温かみを感じさせる柔らかい印象でまとめられています。先代がフローティング構造のセンタークラスターだったのに対し、4代目はオーソドックスな形状に戻り、シフトレバーはインパネ中央に設置されました。

運転席に座ったときの視界が広くなるようエンジンフードを先代より下げて、斜め前方や後方の視界も確保するよう工夫されています。メーターは歴代同様に薄型のセンターメーターになります。

プリウス ▲AとAプレミアムは置くだけ充電をオプション設定

リアシートは6:4の分割式で、荷物量に応じて広げることが可能。シートは肩口にあるロック解除レバーを引くだけで簡単に倒せます。

スマートフォンの置くだけ充電、2ヵ所に設置されたAC100Vコンセント、助手席と後席の乗員の有無や車内温度を検知して素早く快適な室内温度を実現する空調システムなどの快適装備も用意されました。
 

 

【中古車状況】まずは前期型と後期型、どちらのデザインが好みかを考えよう!

4代目プリウスの中古車購入を検討する場合は、まず2015年12月から2018年11月までの前期型か、2018年12月以降の後期型か、どちらを選ぶかを考えることからスタートするのがいいでしょう。

前述したように前期型と後期型でデザインが大きく違うので、好みのスタイルを選ぶことで購入後の満足感が高くなるはずです。

なので、中古車状況も前期型と後期型を分けて解説していきます。

プリウス ▲前期型Aツーリングセレクション。Toyota Safety Sense Pは標準装備

前期型プリウスの流通台数は2000台弱あり、価格帯は90万~340万円。高価格帯はカスタムされた中古車で、ノーマルのものは価格帯の上限が240万円程度になります。

前期型を探す場合、まず考えたいのが先進安全装備をどうするか。標準装備になっているのはAとAプレミアム(どちらもツーリングセレクションを含む)になります。S、Sツーリングセレクション、Eはオプション設定だったので、付いているものにこだわる場合は購入時によく確認しましょう。

前期型でコストパフォーマンスにこだわるならSがオススメ。というのも燃費重視グレードのEは搭載される装備が少ないこともあり新車で選んだ人が少なく、中古車はほとんど流通していません。

Sだと車両価格が110万円前後で走行距離が8万km前後のものを見つけることも可能。低価格帯でもオプションのToyota Safety Sense Pが備わっているものが多いのは嬉しいポイントです。

走行距離が少なく装備も充実した中古車を探すならAがオススメ。走行5万km以下のものも150台ほど流通していて、150万円前後から見つけることができます。最上級グレードのAプレミアムは流通台数が50台程度と少ないので探しづらいですが、もし見つけることができたら狙い目です。

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プリウス ▲後期型Aツーリングセレクション。インテリジェントクリアランスソナーなどが標準装備になる

後期型プリウスの流通台数は1600台弱あり、価格帯は140万~370万円。前期型同様に高価格帯はカスタムされた中古車で、ノーマルのものは価格帯の上限が340万円程度になります。

後期型はToyota Safety Senseが標準装備になりますが、低速走行時に壁や透明なガラスなどを検知して急アクセルを踏んでも、ブレーキをかけて衝突被害を抑えるインテリジェントクリアランスソナーはA以上のグレードに標準装備になるもの。先進安全装備が充実した中古車が欲しいならAやAツーリングセレクションがオススメです。Aだと170万円前後から、Aツーリングセレクションなら180万円前後から見つけることが可能です。

後期型はまだ初度登録から5年経過していないので、走行距離は少なめのものが多いのも魅力です。
 

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※記事内の情報は2023年5月8日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/尾形和美、トヨタ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL