V40▲ボルボのラインナップでも最もコンパクトなモデルだったV40。初代はステーションワゴン、2代目はプレミアムスポーツコンパクト。派生モデルのSUVもある

ボルボ V40の中古車は今

日本の道路事情にちょうど良い、手頃なボディサイズの北欧発ステーションワゴンとして誕生したボルボ V40。

初代と2代目があるが両車に共通項は少なく、製造期間にも開きがある。2代目ではSUVであるV40クロスカントリーという派生車種も登場した。

初代V40は、今や流通台数が5台以下という希少車。クラシックなデザインに憧れている人は、購入後の整備費も見込んだうえで品定めしよう。

一方、2代目V40の流通量は約550台と豊富。100万円程度で手に入るものから、新車価格に近いものまで価格帯は幅広い。予算と好みに応じたものが選べるだろう。

V40クロスカントリーも約170台の流通しており、まずまずの豊富さ。ベースグレードと上位グレードの価格差が少なく、中古車ならではのお得感を味わえるモデルと言える。

ここではボルボV40/V40クロスカントリーの特徴、中古車を選ぶ際のポイントや現在の中古車相場について解説していく。

なお、2代目V40クロスカントリーはV40の1グレードとして扱われることもあるが、想定するユーザーがベースモデルとは大きく異なるため、ここでは独立した車種として扱う。
 

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V40(初代)の特徴と中古車相場

■V40(初代) DATA
生産期間:1997年10月~2004年04月
中古車流通量:約5台
中古車価格帯:50万~80万円
全長:4485~4515mm × 全幅:1720mm × 全高:1450~1460mm
 

V40 ▲ボルボ 850/V70の弟分として1995年に登場(日本への導入は1997年)した初代V40

■ボルボ V40(初代)の特徴
ブランドはボルボだが、製造はオランダで行われたという珍しいモデル。ボルボと三菱自動車工業、オランダ政府の合同事業であるネッドカー工場で作られた。

ボルボのエントリーモデル、5ドア・セダンのS40をベースにステーションワゴン化したモデルで、コンパクトなボディサイズのステーションワゴンとしても日本でも好評を博した。

V40 ▲取り回しの良さ、使い勝手の良さも初代V40のウリ。スタイリッシュな外観のステーションワゴンは当時希少だった

エンジンはデビュー当初、1.8L 直列4気筒ガソリン(1.8)、2L 直列4気筒ガソリン(2.0)、2L 直列4気筒ガソリン・ロープレッシャーターボ(2.0T)、1.9L 直列4気筒ガソリンターボ(T-4)という豊富なバリエーションでスタートした(後に1.8L、1.9Lエンジンは廃止)。

2000年8月のマイナーチェンジで、サスペンションアーム長を変更し、ホイールベース延長、フロントトレッド拡大を伴う大がかりなもので、ハンドリング性能が改善されている。

2004年まで生産され、後継モデルとなるV50にバトンタッチ。その後V40の車名はしばらくの間、使われなかった。
 

V40 ▲基本設計は三菱 カリスマと共有されていたが、エレガントで操作性の良いインテリアはいかにもボルボらしいもの

■ボルボ V40(初代)の中古車相場
新車当時はまずまずの人気だった初代V40だが、現在の中古車市場にはごくわずかな台数が流通しているのみ。

サンプル数が少ないので中古車平均価格の算出は難しいが、一般的な相場は50万~100万円といったところ。

最終モデルでも生産から17年経過しているので、購入前には入念な整備を。三菱 カリスマと基本設計を共有していると言っても、欧州工場で作られた車であり、国産車と同じ感覚で……というわけにはいかない。

購入後も、ある程度の修理を前提として予算立てすることをオススメする。
 

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V40(2代目)の特徴と中古車相場

■V40(2代目) DATA
生産期間:2013年2月~2020年12月
中古車流通量:約550台
中古車価格帯:50万~430万円
全長:4370mm × 全幅:1785mm × 全高:1440mm
 

V40 ▲流麗な造形のハッチバックとなった2代目V40。コンパクトだがボルボらしい走りや安全性能、高級感は上位機種に全く見劣りしない内容だった

■V40(2代目)の特徴
初代の生産終了から9年後(欧州市場でのデビューは8年後)、復活を果たしたV40。

しかし外観に初代の面影はなく、ハッチバックとステーションワゴン、クロスオーバーSUVを融合させたようなスタイリッシュなフォルムとなった。

ボディサイズは初代よりも短くてワイド。フォルクスワーゲン ゴルフやフォード フォーカスなどと同じCセグメントだが、コンパクトな車体の中にもボルボ独自の特徴や機能が存分に盛り込まれている。

グレードはデビュー当初、「T4」、「T4 SE」、スポーツモデルの「T5 Rデザイン」の3種類を設定。「T5 Rデザイン」には専用エアロパーツ、専用シートなどが装着されている。

エンジンは「T4」、「T4 SE」には1.6L 直列4気筒の直噴ガソリンターボを、「T5 Rデザイン」には2L 直列5気筒ガソリンターボを搭載。

全車FF(前置きエンジン・フロントドライブ)で、トランスミッションは全グレードとも6速デュアルクラッチトランスミッション「パワーシフト」が採用された。

卓越した衝突安全性能を誇るのはもちろん、作動速度域が50km/h以下へと拡大された「シティ・セーフティ」を全車に標準装備。さらに、「歩行者エアバッグ」など10種類もの安全機能がセットになった「セーフティ・パッケージ」をオプション設定する安全性能へのこだわりは、ボルボらしいところだ。
 

V40 ▲ホールド感があり、しかも長時間のドライブも苦にならない大振りのシートはV40でも健在。先行車との距離を一定に保つアダプティブ・クルーズ・コントロールも装備されていた

デビュー翌年の2014年11月に、一部改良が実施され、「T5 Rデザイン」のエンジンをDrive-E 2L 直列4気筒直噴ガソリンターボに、トランスミッションをトルコン式パドルシフト付き8速ATに変更。他グレードについても下記の変更が行われた。

■2014年11月 一部改良
【安全性能】
・セーフティ・パッケージにリアビューカメラを追加し、全10種類の安全装備・運転支援機能「IntelliSafe10」とした

【装備】
・マルチメディアシステム「SENSUS」を一新し、インターネット接続機能や音声認識機能、ITSスポット(DSRC)対応ETC車載器を追加
・オプションのプレミアムサウンド・オーディオシステムにharman/kardon製スピーカーを採用
・LEDドライビングライトを追加

さらに2015年7月には、2L 直列4気筒クリーンディーゼル「D4」+トルコン式パドルシフト付き8速ATエンジンを搭載したグレード「D4」と「D4 SE」を追加。

同時に「T5 Rデザイン」を除くガソリン車もDrive-E 1.5L 直列4気筒直噴ガソリンターボエンジン+トルコン式6速ATとなり、グレード名が「T3」と「T3 SE」に変更された。
 

V40 ▲起伏に富んだ造形が印象的なリアビュー。現在、後継となるコンパクト車がボルボに存在しないのも中古車が人気の理由だ

2016年7月には、フェイスリフトを含む大規模な変更が行われた。

■2016年7月 マイナーチェンジ
【エクステリア】
・トールハンマーをモチーフにしたフロントデザインに一新
・T字型のLEDヘッドライトを全グレードに標準装備

【インテリア】
・シート表皮、インパネのデザインを変更

【安全性能】
・歩行者まで検知可能な自動ブレーキを含む10の先進安全機能を全車に標準化を実施
・歩行者エアバッグを全車標準装備化。

【グレード】
・下記のとおりグレード体系を一新
ガソリン車:「T3 キネティック」、「T3 モメンタム」、「T3 インスクリプション」
ディーゼル車:「D4 キネティック」、「D4 モメンタム」、「D4 インスクリプション」
 

V40 ▲2016年、Rデザイン、クロスカントリーを含む全モデルともフロントまわりをボルボ共通の「トールハンマー」をモチーフにしたデザインに変更

■V40(2代目)の中古車相場
生産期間が8年弱と比較的長く、人気車だったため流通量は豊富だ。

中古車平均価格(車両本体価格)は160万円前後だが、デビューイヤーから生産終了まで比較的満遍なく分布しており、最安値帯は70万~100万円となっている。

価格といい、ボディサイズといい、“初めての輸入車”としてもってこいの1台だろう。

初期の年式、ベーシックなグレードであっても「シティ・セーフティ」などの安全装備、快適装備が充実しており、走行性能にも不満を感じない仕立ての良さがV40の特徴だ。

「セーフティ・パッケージ」「IntelliSafe10」などのオプション装備が付いた物件なら、さらに安心だろう。

最も流通量が多いのはフェイスリフトが行われた2016年式。このあたりの高年式車は150万~300万円が相場となる。

2015年に追加されたディーゼル仕様は、燃費が良く、しかもスポーティと、特に評価が高いモデルだ。総額150万円から探すことができる。

ディーゼルの走行距離2万km以下という物件も50台程度あり、総額200万円台で狙うことが可能だ。新車販売が終了しているため、低走行物件は増えにくい。コンディション重視派は、選択肢がある今が狙い目かもしれない。

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V40クロスカントリーの特徴と中古車相場

■V40クロスカントリー DATA
生産期間:2013年5月~2020年12月
中古車流通量:約170台
中古車価格帯:80万~380万円
全長:4370mm × 全幅:1800mm × 全高:1470mm
 

V40 ▲ベースモデルから車高を約30mmアップし、バンパー下部などのデザインによってSUVテイストが醸し出されたクロスカントリー

■V40クロスカントリーの特徴
V40(2代目)の外観にスキッドプレート風デザインのバンパーやラギッドなサイドシル、専用フロントグリルやルーフレールなどを与え、車高を約30mmアップ。

駆動方式もフルタイム4WDとしてクロスオーバーSUVに仕立てたのが、V40クロスカントリーだ。

ベースモデルと基本的な構造は共通しているが、しっかりSUVになっているのが、ボルボの巧みなところと言えるだろう。

デビュー時は「T5 Rデザイン」と同じ2L 直列5気筒ガソリンターボ+6速デュアルクラッチトランスミッション「パワーシフト」を採用。
 

V40 ▲機能的で上質なインテリアはクロスカントリーも共通。V40の上級グレード的位置付けでもあった

2015年3月にDrive-E 2L 直列4気筒直噴ガソリンターボ+トルコン式パドルシフト付き8速ATを採用した仕様が限定車として発売され、同年7月にカタログモデルとなった。

同時に、2L 直列4気筒クリーンディーゼル「D4」+トルコン式パドルシフト付き8速ATエンジンを搭載したグレード「クロスカントリー D4」と「クロスカントリー D4 SE」を追加。

その翌月、ガソリン車にDrive-E 1.5L 直列4気筒直噴ガソリンターボエンジン+トルコン式6速AT仕様の「クロスカントリー T3」が追加された。

なお、フルタイム4WD仕様は2Lガソリンエンジンを搭載する「クロスカントリー T5 AWD(サマム、モメンタム含む)」のみで、他のモデルはベース車と同じFF仕様となっている点には注意が必要。

2016年7月のフェイスリストなど、マイナーチェンジのタイミングはベースモデルと共通だ。
 

V40 ▲フルタイム4WD仕様はV40の中でも、クロスカントリーの2Lガソリンエンジン車だけ。ハルデックス社製のアクティブトルクスプリット式4WDシステムは信頼性も高い

■V40クロスカントリーの中古車相場
V40の1バージョンだったにもかかわらず、中古車流通量は約170台となかなかの豊富さ。

V40で唯一のフルタイム4WD車であることが、クロスカントリーの価値を高めた。

中古車平均価格(車両本体価格)は約180万円、最安値帯は総額130万~150万円と、ベースモデルに比べて若干高めだ。

しかし、新車価格がV40の上級グレードより50万円ほど高く、装備が充実していたことを考えると、むしろお得感があると言えるだろう。

デビューイヤーに近い年式、走行距離6万km以上の物件は150万円以下から、新車に近いコンディションのものは400万円までと、中古車市場での価格帯は幅広い。

また、現在の中古車市場では過半数がフルタイム4WDモデル、つまり2L ガソリン車だが、V40クロスカントリーには1.5Lガソリン車、ディーゼル車、「T4 ノルディック(特別仕様車)」などのFFモデルも多く設定されていた。

ラギッドな見た目が好み、4WDは必要ない、という人は、割安なFFモデルにフォーカスするのもひとつの選択だろう。走行距離5万km以下の物件が、総額200万円以下から選ぶことができる。
 

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※記事内の情報は2021年8月15日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/ボルボ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。