▲車を売る時には各種書類が必要になる。売却時に慌てないためにも事前にどんな書類が必要か知っておこう ▲車を売る時には各種書類が必要になる。売却時に慌てないためにも事前にどんな書類が必要か知っておこう

車の売却時に用意する必要書類は意外に少ない

自動車は買う時だけでなく、手放す時にも書類や手続きが必要になる。ただし、車を購入して登録する時ほど手間のかかる作業は不要。もともと持っている書類と、簡単な書類への記入で済む作業がほとんどだ。

とはいえ車の売却をスムーズかつスピーディに進めるためには、早めの書類準備が不可欠。普通自動車と軽自動車では用意する書類が違ってくるし、車の状態や状況、個人名義、法人名義によっても内容が多少異なる。

一般的には売却に必要なものは下記の通り。

【普通自動車の場合】

■所有者が用意するもの
・自動車検査証(車検証)
・印鑑登録証明書
・自賠責保険証明書
・自動車納税証明書
・実印
・振込口座情報
・リサイクル券(預託済みの場合)

自動車検査証と印鑑登録証明書の住所が違う場合は、以下も必要。

・住所変更が一度あった場合:住民票(法人の場合は登記簿謄本)
・住所変更を複数回経た場合:戸籍の附票または住民票の除票
・結婚などで姓が変わっている場合:戸籍謄本(履歴事項全部証明書)

■自動車買取店に用紙があり、記入する書類
・譲渡証明書
・委任状

【軽自動車の場合】

■所有者が用意するもの
・自動車検査証
・自賠責保険証明書
・軽自動車納税証明書
・印鑑(認印可)
・振込口座情報
・リサイクル券(預託済みの場合)

■店舗などに用紙があり、記入するもの
・自動車検査証記入申請書
・委任状

▲所有者自身が用意する書類は上記のとおり。軽自動車は実印および印鑑証明書が必要ない▲所有者自身が用意する書類は上記のとおり。軽自動車は実印および印鑑証明書が必要ない
▲買取店など店側が用意する書類は上記のとおり。軽自動車は譲渡証明書が要らないかわりに自動車検査証記入証明書が必要▲買取店など店側が用意する書類は上記のとおり。軽自動車は譲渡証明書が要らないかわりに自動車検査証記入証明書が必要

車の売却に必要な書類の詳細と注意点

各書類について、詳しい内容、注意点を見ていきたい。

■所有者が用意するもの
・自動車検査証(車検証)
当たり前だが、車検証の原本が必要!車の種類を問わず、車内に常備することが義務づけられている書類なので、準備することはない。

ただし、ありがちなのが引っ越しや結婚などで氏名や住所が変わっていること。記載されている氏名や住所が正しいか、必ず確認しよう。

車検証と印鑑証明書の住所が異なる場合には別途「住民票(法人の場合は登記簿謄本)」や「戸籍の附票(または住民票の除票)」が、結婚などで姓が変わっている場合には「戸籍謄本」が必要となる。わざわざ売却前に車検証の記載内容を変更しなくてもよい。

車検が切れてしまっている場合でも車を売却することは可能だが、その際にも車検証は必須だ。

ローンの支払いが終わっていなかったりして所有者と使用者の名義が異なる場合、そのまま売却することはできない。別途「移転登録(いわゆる名義変更)」という手続きが必要となる。

移転登録の可否、方法については、残債の額や売却額などによるので、所有者に相談しよう。

▲使用者の使命、住所の欄が正しいか、ローン利用で完済している場合は移転登録されているかを確認!▲使用者の使命、住所の欄が正しいか、ローン利用で完済している場合は移転登録されているかを確認!

・印鑑登録証明書
市区町村が証明する実印の登録証書(法人の場合は法務局が発行)。有効期限があり、発行日から3ヵ月以内のものが必要になる(場合によっては2通)。

車の売却の際には委任状、譲渡証明書に実印を使用するため、それを証明するためのもの。

軽自動車では認印でも問題なので、この書類は必要ない。

▲実印と印影が同じかをチェック▲実印と印影が同じかをチェック

・自賠責保険証明書
ご存知のとおり、すべての車には自賠責保険(いわゆる強制保険)への加入が義務づけられている。

この書類がなかったり、期限が切れていたりすると自賠責保険を次の所有者に名義変更することができないため、売却もできない。

名義変更の手続き自体は店舗側が行い、旧所有者は書類に実印を押すだけで済むのが一般的。

引き継がれる分の費用は次の所有者から回収され、売却額に上乗せして計上されるケースが多い。

▲自賠責保険証明書は有効期間内のものであること▲自賠責保険証明書は有効期間内のものであること

・自動車納税証明書(軽自動車の場合は軽自動車納税証明書)
自動車納税証明書は、その名の通り、自動車税がきちんと納税されていることを証明する書類。

自動車税は毎年4月1日時点で、自動車の所有者(ローンで所有権が留保中の場合は使用者)に対して納税義務が発生する。

売却時に必要なのは、最新の納税証明書だ。当然、未納だと次の車検を受けることができないため、通常は車の売却も認められない。

書類の有無だけでなく、収納印が押されているかもチェックする。ペイジーなどの電子決済を利用した場合、収納印は押されていないので、売却先にその旨を伝えよう(納税さえされていれば車検を受けられる)。

名義変更に自動車納税証明書は必要ないが、買取店はトラブルを避けるために提出を求めることが多い。

▲売却時に必要となるのはピンク色の枠で囲った部分。納税証明書は小さいチケット状のため、紛失しやすい▲売却時に必要となるのはピンク色の枠で囲った部分。納税証明書は小さいチケット状のため、紛失しやすい

・実印(軽自動車は認印可)
普通自動車の売却には、市区町村で登録した「実印」が必要となる。買取店が用紙を用意する委任状や譲渡証明書、自賠責保険の名義変更に必要な書類などに捺印するためだ。印鑑証明書と印影が同じであることを確認しておこう。

軽自動車の場合は、認印でもOK(スタンプ印は不可)。

・振込口座情報
車の売却金額は高額なので、多くの場合は銀行振込になることだろう。売却先からの代金の入金先を指定するために、あらかじめ「金融機関名、支店名、口座番号、口座名義」を控えておく。

店舗に通帳を持参する必要はない。トラブルを避けるため、基本的に本人名義の銀行口座のみなのが一般的だ。

・リサイクル券(預託済みの場合)
自動車リサイクル料金が支払われていることを証明する書類。

2005年(平成17年)以降、新車登録された車は原則、最初の購入者がリサイクル料金を支払っている。リサイクル料金は預託金なので「売却時にはその分を次の所有者から受け取る」という仕組みになっている。

そのため、新車購入時にリサイクル料金を預託した人、あるいは中古車を購入して相当する金額を業者に支払った人は支払った分の預託金を受け取る権利がある。リサイクル券は、その相当額を受け取るために必要となる。

▲紛失してしまった場合は、インターネット上の預託状況を印刷し、代替することができる▲紛失してしまった場合は、インターネット上の預託状況を印刷し、代替することができる

■店舗などに用紙があり、記入するもの
・譲渡証明書(普通自動車のみ)
・委任状
・自動車検査証記入申請書(軽自動車のみ)


上記の書類については店舗に用紙があるので、そちらに記載、捺印すれば問題ない。内容も簡単で、いずれも実印さえあれば店頭でも記入できる。

▲譲渡証明書には、車検証に記載されている通りの「車名」「型式」「車体番号」「原動機の形式」を記載する。「住所」「氏名」の欄は最上段に譲渡人のものを記載、印鑑登録証明書で登録した実印を捺印する。その下・二段目は譲受人(車両を譲り受けた人)が記載する欄なので空欄にしておく▲譲渡証明書には、車検証に記載されている通りの「車名」「型式」「車体番号」「原動機の形式」を記載する。「住所」「氏名」の欄は最上段に譲渡人のものを記載、印鑑登録証明書で登録した実印を捺印する。その下・二段目は譲受人(車両を譲り受けた人)が記載する欄なので空欄にしておく
▲委任状は店頭でも記載できる内容だ▲委任状は店頭でも記載できる内容だ

必要書類をなくしてしまった時の対処法

「書類がどうしても見つからない。車を売れないかも」と、焦る必要はない。売却に必要な書類はすべて再発行(もしくは代替)できる。ただし、発行されるまでに多少時間がかかるものもある。予め分かっている場合には早めに手続きすること。

・自動車検査証(車検証)
紛失してしまうことはまれだと思うが、車検証は簡単に再発行できる。

車を管轄する陸運支局に行き、なくしてしまった理由書と手数料納付書、第3号様式と呼ばれる申請書(陸運支局にOCR用紙がある)に記載して提出するだけでOK。1時間程度で取得できる。

車検証が汚れたり破れたりしてしまった場合には、その車検証を返納する。費用は自動車登録印紙300円と申請用紙の50円のみ。委任状があれば代行できる。

・自賠責保険証明書
加入した保険会社に申請するだけで再発行可能。紛失してしまっている場合にも前回の車検時に加入、提示しているはずなので、保険会社に連絡してみよう。

書類がなくて、どこの保険会社か分からない場合には、車を購入した店舗に聞いてみるのが得策だ。再発行自体は即日可能だが、電話などで依頼して宅急便で届けてもらう場合は時間がかかるケースもあるので注意。

・自動車納税証明書(軽自動車は軽自動車納税証明書)
必要書類の中でも、小さくて紛失してしまいやすいのがコレ。実は証明書がなくても納税されていれば名義変更、車検を受けることができるので、売却先に相談してみよう。

電子決済した場合で収納印がない場合も同様だ。それでも証明書が必要な場合には、普通自動車は自動車税事務所で、軽自動車は市区町村役場で、即日再発行できる。

万一、未納の場合には売却できないので、速やかに納めよう。ちなみに電子決済は結果がデータに反映されるのに数週間程度の時間がかかる。

急いで売却したい場合には金融機関などで納付するのがベター。納付書をなくしてしまった場合の納付先も上記と同じだ。

・印鑑登録証明書
印鑑登録証明書を紛失してしまったり3ヵ月の期限が切れてしまったりしても、市区町村役所で再発行すれば問題ない。

万一、印鑑登録証(カード)自体を紛失してしまった場合、印鑑登録を廃止申請して再度登録する必要がある。即日取得可能。

・リサイクル券
リサイクル券を紛失してしまうと再発行できない。しかし「リサイクル料金検索」で「自動車リサイクル料金の預託状況」を印刷することでリサイクル券の代用ができるので、取得は容易だ。

車をスムーズに売却するためには事前に書類があるか確認

車の売却時に必要となる書類は、印鑑登録証明書以外、普段から用意してあるものがほとんどだ。

紛失や破損していない限り、手間や時間がかかることは少ないだろう。

車を手放す先が決まった時点で書類があることを確認しておくことをオススメしたい。

text/田端邦彦