車の買取店から交渉で高額査定をGET! プロに聞いたマル秘テク
2019/03/27
ベテラン買取店員に査定時の交渉について聞く
買取店に車を売却するとき、交渉して高額査定を引き出すことができるのか? また可能だとしたら、どんな交渉術があるのか? その答えを、25年にわたって毎年400台以上を買い取ってきたベテラン買取店員のY・Nさんに教えてもらった。
交渉は車を高く売るために役立つ?
そもそも交渉することで売却額が引き上がることはあり得るのだろうか?
「十分あり得りえます。いきなりギリギリの金額を出してくる買取店はまずありません。始めは少し余裕を持たせた低めの査定額で提案します。お客様の交渉によって徐々に査定額が引き上げられていくケースが多いです」
買取店も利益を出さなければならないため、売り手の様子を見ながら互いに納得できる金額を提示するという。
交渉でどれくらい査定額がアップするかは買取店次第で、車の価格によっても異なる。一般的には査定額が100万円前後なら10万円程度のアップが慣例。中には20万円以上も金額が上がるケースもある。ただ、それは最初の提示額が低かった可能性が高いそうだ。
売る気をアピールする交渉術とは?
では、具体的に交渉はどう進めるのが良いのか?
「買い取る側はまず、お客様に売る意思があるかどうかを見ます。この人なら売ってくれそうだ、というときにしか売却金額の話はできませんからね」
例えば買取希望金額を聞いた時、相場と近い金額を言ってきたら「ちゃんと下調べしているな」と分かり、売る気アリと判断されやすい。査定の段階で既に必要書類をすべて揃えるのも「売る準備ができている」表れなため、効果的とのことだ。
また、アピールポイントを伝えることも大切。外観からは見えないオプション装備品や、しっかり整備してきたこと、大切に乗ってきたことをアピールすると査定額が上がる可能性がある。査定時に車を購入した時の見積書、整備点検記録簿などを用意しておくと良いだろう。
「プロなので本来あってはならないのですが、査定する側も人間なので見落としてしまうこともあります。お客様側で伝えていただけると間違いありません」
他社と名前を出す交渉は有効?
一括査定では同時に複数の買取店と交渉することも多い。その場合、他社の査定額がいくらだった、と伝えることはOK?
「査定するスタッフによると思いますが、私の場合は歓迎です。相手がその金額なら『当社はここまでなら出せます』『これ以上は出せません』と具体的な数字で話が進められるからです」
気をつけるべきは金額を釣り上げるため、偽りの査定額を伝えること。それはウソだと、プロにはすぐに見抜かれる。買い取った車の多くはオートオークションに出品されるため、その落札相場を超える査定額を提示することはあり得ない。買い取りのプロはそうした落札相場をすぐに調べられるからだ。
「この場で決めてくれたら……」と迫られたら?
一括査定では「今この場で決めてくれたら、ここまで査定額を上げられますよ」と買取店に提案されることも多い。その場合は、どうしたら良いのか?
「買い取る側としては、一件でも多く契約を取りたいのが本音です。他社と交渉する前に手早く決めてくれたら、こちらとしては大変ありがたいため、そうした営業方法をすることもあります…。ただ実際には、後から来た買取店も同様の金額を提示してくれる可能性は高いでしょう。つまり、その場で決めなくても問題ありません」
最初の一社で決まってしまえば手間がかからないが、一括査定を利用した意味もない。一括査定を頼んだのなら、一社でも多く査定額を見比べたいところ。しかし、返事を長引かせすぎると高値売却のチャンスを逃しかねない。頃合いの良いところで決断することが肝心だ。
さて、ここまで買取店員に聞いた交渉のポイントをまとめる。
・交渉は査定額アップに有効
・まずは売る気があることをアピールする
・およその買取相場を掴んでおくと話がスムーズになる
・自車の長所をしっかり伝える
・他社と金額面で競合させるのもOK
・一社で即決もアリだが、他と見比べるのが無難
このように交渉と言っても話術が必要なわけではない。誠意をもって相手とコミュニケーションを取ることがポイントだ。
交渉が効果的にはたらく売却方法とは?
車の売却方法によっても、どんな交渉をしたら良いかは異なる。売却方法ごとにポイントを考えてみよう。
・下取りの場合
次の車を購入する店に車を売るのが「下取り」だ。下取りの交渉でポイントとなるのは、次の車からの値引き額と、売りたい車の売却金額のトータルで損得を考えること。ディーラーが扱う新車は通常、上限金額が決まっている。
そのため、店員が「もっと値引いてあげたいけど、これ以上は無理。だからその分、下取り車の買取金額をアップします」という手段を取ることが多い。ここが交渉のチャンスとなる。
ただし交渉の結果「売却金額がアップしたが、新車からの値引きが減額。トータルでは交渉前と同じだった」ということもあり得る。新車からの値引き額がいくらで、売却金額がいくらか店員に明確にしてもらおう。
また、車の購入と売却が同時にできる店舗は、その後も車検や整備、次の買い替えなど担当スタッフと長い付き合いになりやすい。「良い金額を提示してくれたら長く付き合ってもイイよ」という態度を見せることも有効だろう。
・自分で買取店を探す場合
買取店のスタッフは1年間に何十台、何百台もの車を買い取るプロ。往々にして忙しく、結果を早く知りたいことが多い。「すぐに買い取れる可能性ナシ」と判断されると交渉から離脱されてしまうこともあるので、レスポンス良く対応しよう。
さらに、交渉序盤ではできるだけ希望額は明かさず、買取店員が提示してきてから「プラスいくら!」と交渉するのも重要。買取の場合、最初に希望額を聞かれるのが一般的。買取店の想定よりも希望額が低ければ、そのまま低めの売却額となることが多い。そのため、売り手はおよその相場を把握しておくことが、高額査定を手に入れる秘訣だ。
・一括査定を利用する場合
一度の申し込みで複数社に査定を依頼できる「一括査定」でも交渉相手は買取店となる。だが、買取店同士の競争が発生するため、ギリギリの交渉をしなくても自然と査定額が上がる可能性が高い。
交渉できる期間を把握しよう
交渉にあたっては、車を売るまでのフローを把握し、どの時点まで交渉可能か理解しておくのも大事。下取りに出す場合と自分で買取店を探す場合、一括査定を利用する場合の3パターンで売るまでの流れを見てみよう。
■下取りしてもらう場合
STEP1 現所有車の売り先(=次の車の購入先)を決める
STEP2 査定してもらう
STEP3 次の車を発注する
STEP4 必要書類を揃える
STEP5 現所有者と必要書類を引き渡す・納車される
STEP6 入金を確認する
車を売るだけの場合は、車と必要書類を相手に渡すまでは無料でキャンセルできるケースが多いが、下取りの場合は、次の車を発注するまでに契約内容を確定する必要がある。つまり、STEP1からSTEP3までが交渉できる時期だ。
なお、STEP6が発生するのは相当なレアケース。これは下取り額が購入金額より高かった場合のみする必要がある。
■特定の買取店を選ぶ場合
STEP1 売り先を決める
STEP2 査定してもらう
STEP3 必要書類を揃える
STEP4 車と必要書類を引き渡す
STEP5 入金を確認する
最初に店舗を訪れた直後(STEP1)から、必要書類と車を引き渡す(STEP4)までが交渉できる期間。買取店側の対応は一般的にスピーディで、必要書類さえ揃っていればSTEP1からSTEP4まで当日のうちに済んでしまう。
その場で決める必要はないが、一店舗だけで検討するなら結論を出すまでに時間はさほどかからないはず。事前によく計画を練っておくことが肝心だ。
■一括査定を利用する場合
STEP1 一括査定に申し込む
STEP2 査定してもらう
STEP3 売り先を決める
STEP4 必要書類を揃える
STEP5 車と必要書類を引き渡す
STEP6 入金を確認する
一括査定は複数の買取店と同時に交渉を進めるのが特徴。交渉できるのは最初の買取店が査定に訪れてから、売り先を決めるSTEP3まで。他の売却方法に比べて交渉相手は増えるが、時間には比較的余裕がある。
実際に売買契約が成立するのは車と必要書類を引き渡すSTEP5の段階だが、売り先を決めた後では交渉に応じてくれないことが多い。
交渉不要の査定サービスは一長一短
最近は査定サービスのバリエーションが増えて「複数の買取店と交渉するのが苦手」という人に向けたサービスが登場してきた。
例えば、車の状態や地域などの情報を元に、複数の候補から一社のみを売り手に紹介する査定サービス。一社以外には個人情報が明かされないため、買取店との対応に追われることがない。他にも、インターネット上でオークションを開催し、競り落とした一社のみ連絡があるサービスなどもできた。
一括査定に比べると、一回だけの査定で済み、買取店と交渉したり選定したりする必要がないのがメリットだ。しかし、車を高く売るという点ではやはり複数買取店に査定してもらい、それぞれと直接交渉できる一括査定が有利。交渉が発生するからこそ、高額査定が引き出せるのだ。
交渉は買取店の立場も尊重することがキモ
車を売却した経験が少ないと身構えてしまいがちだが、売る側と買う側が互いに納得できる落としどころを見つけるのが交渉の目的。無理なお願いは禁物だ。一括査定を利用して効率的に複数の買取店と交渉すれば、査定額アップの上限も見えてくる。その中で自分が最もトクをする売り先を選んで、賢く車を売却しよう。