事故車でも高く売れる!買取店員に聞いた査定額アップのヒケツ
2019/03/27
年間400台以上も車を査定するプロに話を聞いてきた!
何かとネガティブなイメージがつきまとう事故車。中でも、車の骨格にまで損傷を受けた「修復歴車」は、売る時に大きなマイナス査定となる。
それは事実だが、少しでも高く売る方策は何かないのだろうか? 25年間にわたって、神奈川県Y市で年間400台以上の車を査定し続けてきたベテラン買取店員Y・Nさんに話を聞いた。
事故車を高く売るポイント
Yさんによると事故車の査定ダウンは、ある程度、覚悟しなければならないという。
「新車価格400万円のミニバンで納車直後に大きな事故を起こし、フロント部を大破してしまった人がいました。修理の見積額は200万円以上で、車両保険には入っていませんでした。『車を買った直後にそんな大金を払えない』と未修理でディーラーに査定を依頼したら、提示された買取価格は70万円だったのです」
この車の場合、事故を起こしていなかったら320万円前後の査定額だと予想される。車という“資産”は、買った瞬間から価値が下がる。これは事故に関係なく、どの車でも同様だ。特に新車を購入直後に売る場合は落ち幅が大きく、買取額はよくて中古車の販売価格の8割程度になると言われているからだ。
だが、このケースで査定額が70万円になってしまったのには、2つのマイナス要因がある。
ひとつ目の要因は、事故の損傷が大きく、修理費用が高額だったこと。未修理の車を買い取る時は、修理費用が差し引かれる。200万円もの修理費用がかかるのだから、これだけで査定額は120万円だ。
二つの目の要因は、直した後も修復歴車としてしか売れないこと。このケースの場合、骨格部分にまで影響が及んだ大破なので数十万円は確実に減額されるだろう。
上記2つに加えて、査定ではディーラーの手数料も引かれる。結果、70万円という査定額になったのだ。
事故車査定では適切な売り先を見つけることが重要
結局、このミニバンのオーナーはディーラーではなく、一般的な買取店に80万円で売却した。しかし、Yさんによると「その後、買取店がオートオークションに出品したら150万円で落札された」という。
もちろん、これほど落札額が買取価格からこれほどアップするケースは極めて希。落札した業者は安く修理できるアテがあり、売却先も既に決まっていたから、その値段で買ったのではないかと推測される。
さて、この事例から学ぶべきことは「事故車を売るときは、適切な相手を選ばないと損をする」ということだ。「大きな事故、しかも未修理の修復歴車は事故車専門の買取店に売る方がお得だ」とYさんは説明する。
「事故車専門の買取店は安く修理できる提携工場を持ち、独自の販売ルートを知っています。主な仕入れ先はユーザーとオートオークションですが、ディーラーや一般的な買取店が買い取った車も最終的にはオートオークションを介し、彼らの手に渡る。であるならば中間マージンがない分、彼らと直接やりとりした方が高く売れるのです」
一方で修理済みの車は、事故車専門ではなく一般的な買取店や中古車販売店の方が高く売れる可能性がある。ケースバイケースだが、一括査定を利用するなどして多くの店に査定してもらうことが、高値で売れる店を見つける近道となるはずだ。
交換よりも鈑金の方が事故車査定額は高くなる
事故車の修理をする時、押さえておきたいポイントがある。それは、できるだけボディパネルを丸ごと交換することを避け、鈑金修理で対応してもらうことだ。
「修理の方法によって査定額は変わります。例えば、傷やヘコミを鈑金のみで修理した場合は一ヵ所につき3~8万円程度の減額(コンパクトカーの場合)で済みます。しかし交換した場合は7万円~、ルーフなど面積が広い部分は15万円以上の減額となることも。売るときのことを考えると交換でなく鈑金がオススメです」
ただし、大きな事故の場合や、鈑金が利かない部位の場合は、有無をいわさず交換となる。走行性能への影響なども考慮して慎重に判断しよう。
事故車の買取相場を知るウラ技
事故車の売却では査定額アップにつながる、ちょっとした交渉術がある。
「私たちはオートオークションでの落札実績を基準に、査定額を算出しています。ただ同じ車種、同じコンディションでも落札額には幅がある。その幅が事故車の場合は特に大きく、プロでも完璧には読みきれません。そのため、落札実積の下限額でも自社に利益が出るように、査定額を設定するんです」
その金額以上の売却額を希望しても、買取店はキッパリ断るしかない。逆に言うと、その金額までなら引き上げられる余地がある。つまり、もし自車に近い物件のオートオークション落札下限額を知っていたら、交渉次第では査定額を上げられるのだ。
だが、業者ならともかく、私たち一般人はオークション相場を知る術がない……。では、どうしたら良いのか? 実はオークション相場そのものではないが、それに極めて近い金額を知る方法がある。
それは、JAAI(日本査定協会)に査定を依頼すること。一般には知られていないが、JAAIでは個人向けに車の査定も行っている。公正な立場の第三者機関なので、査定してもらっても買取店から電話がかかってくることもない。
ただし査定は有料で、普通車の場合、支所への持ちこみで7,040円~、出張査定してもらう場合は別途4,000円前後かかる。未修理や修理済みの事故車なら、修復歴による減価も反映した査定額を提示してくれる。
Yさんによると「多くの買取店は最初に提示する査定額をかなり低めに設定しているので、交渉次第で10万円程度上げる余力はあるはず」とのこと。1万円強の査定費用をかけてでも、JAAIに依頼する価値はあるだろう。各支所の連絡先はJAAIのホームページに記載されている。
▲JAAIは各都道府県に支所がある。査定依頼する場合は最寄りの支所に電話して予約。車の情報を事前に伝えた上で査定してもらう ※出典:JAAI
事故車であることを隠すのは絶対にNG!
事故車を売却する際に注意点が一つある。それは嘘をついたり、事故を隠したりしないこと。事故による損傷が修復済みでキレイに直っていたとしても、査定時には事故があったことを買取店に伝えなければいけない。
「仮に事故歴があることを隠したまま買取店に売却し、後にそのことが発覚して損害が発生したら、賠償責任は売り手側に課せられます。余計なトラブルを避けるためにも、売買でのやり取りは正直にした方が良いでしょう」
買取のプロといっても、車の状態を100%分かるわけではない。きちんと説明してフェアな取引をすることが、買取店だけでなく自分自身のタメになる。
最適な方法を実践し、事故車を高く売り切ろう!
最後に事故車を少しでも高く売る方法をまとめてみよう。
・大きな損傷があり、未修理の場合は事故車専門の買取店に売却する
・修理済みの場合は、一般的な買取店や中古車販売店に売却する
・修理方法は損傷の具合に応じるが、可能なら部品は交換せず鈑金で対応する
・JAAIを利用するなどして売却額の目安をできるだけ正確に見定める
・事故歴は包み隠さず、正直に伝える
ポイントを押さえれば、事故車でも損失を最小限に抑えられる。上記を参考にして、高額査定をGETしてほしい。