故障車は買取してもらえるのか? 故障のケースごとに解説
2019/03/20
「故障車」だって値段がつく!
一台の車に長く乗っていると故障はつきもの。「故障している車は廃車にするしかない」と思う人がいるかもしれないが、それは間違い。どんな故障車でも、ほぼ間違いなく売れる。その理由や、ケースごとの適切な売り方、売る時のポイントなど故障車の売却方法を解説する。
故障車が売れるのは専門の買取店があるから
たしかに、かつては大きな故障をした車は売るときに価値がつかなかった。しかし、現在では事情が大きく変わってきている。
故障車の扱いが変わった理由は、海外に中古車を輸出する販路や、中古車を部品ごとに売る販路ができたこと。さらに、そうしたニーズにともなって事故車や故障車を取り扱う買取店ができたことで、故障車でも売却できるようになった。
日本車は海外、特に自国で車を生産していない国で大人気。「品質が高い」「故障しにくい」というイメージがあるからだ。
しかしながら、日本車のディーラーがない国もまだたくさんある。そうした国では並行輸入(メーカーの正規代理店による輸入ではない小規模な輸入)に頼らざるを得ず、それをビジネスにする事業者が多数生まれた。
日本では、車の骨格にあたる部分を修理すると「修復歴車」とされて価値が下がる。エンジンやトランスミッションなど走行にかかわる部品を交換している車も敬遠される。しかし。海外ではほとんど関係ない。「走りさえすれば良い」という人も多いのだ。
加えて、国内外で中古部品が流通するようになったのも、故障車が売れるようになった一因。故障などで車から外した部品を手直した「リビルト品」が、修理技術が上がったことやインターネットの普及を背景に、誰でも普通に手に入る状況になった。
現在では、こうした「海外における日本車のニーズ」と「中古部品のニーズ」を満たすため、事故車や故障車を専門的に扱う買取店がたくさんある。それが、走らない「不動車」であっても買い取ってもらえるようになった理由だ。
故障車でも、まずは一括査定
ここからが本題。故障している車を売る具体的な手順を見ていきたい。
故障車の適切な売り先は、故障の箇所と状況によって異なる。しかし、まずは一括査定を利用すべきだ。
ディーラーでの下取りは、故障や修復歴などがあると低く査定される可能性が高い。オートオークションに出す以外の流通ルートを持っていない場合が多いからだ。
逆に、いきなり故障車や事故車を専門とする買取店に当たるのも、車を高く買い売るためにはNG。彼らが得意とするのは国内で価値がなくなった車であり、軽微な故障の場合は一般的な買取店より査定額が低くなる可能性がある。軽微かどうかの判断はユーザー自身では難しいため、まずは一括査定に依頼してみるのが得策だ。
では、一括査定の申し込み方法を見ていこう。例えばカーセンサーの一括査定。申込みフォームで入力するだけだが、次のチェック欄に注目して欲しい。
申込み段階では故障車どうかは問われず、「走れる」か「走れないか」のみ。「走れない」をチェックすると、それを前提に買取店の候補が表示される。
実際に査定に来てもらい、納得できる金額が提示されたなら、それで問題なし。そうでないなら、故障車を得意とする買取店に査定を依頼しよう。
故障のケースごとのポイントを解説
故障している部位や状態ごとにポイントをまとめてみた。
・オーディオやエアコンなど、走行に関係ない部分が壊れている場合
オーディオやカーナビなど、すぐに交換できる部品は壊れていても査定額が少し下がるだけ。JAAI(日本自動車査定協会)ではオーディオの故障で-1万円、カーナビの故障で-3万円と査定減額基準を定めている(基準であって絶対ではない)。そもそも、装着されていなくても大きな減額にはならない。
部品を交換すれば多少の査定アップになるかもしれないが、そのアップ分が購入金額を上回ることはない。よって、そのまま売却して良し。
一方でエアコンは、故障の度合いによって減額される。ただし、これも大幅に下がることはない。JAAIでは、エアコンガスの交換程度で済む故障なら-1万円、エアコン本体の修理が必要でも最大で-4万円と基準を定めている。これもあくまで基準であり、実際の査定現場ではオークションでの実績などを元に判断される。
・バッテリーが上がっている、灯火類が切れている場合
一般的には軽微な故障にあたり、わざわざ売却前に修理する必要はない。ただし、ひとつ注意点がある。バッテリーが上がっていてもジャンプ(ブースターケーブルで他の車から電力を得ること)してエンジンが掛かるなら問題ないが、もし掛からないなら見直しが必要だ。
車は売れるが、修理工場まで自走できない場合は売却額からレッカー代が差し引かれる。レッカー代は安くても10kmまでで1万5000円程度、20kmまでで2万円程度。そうなると、事前にバッテリーを買って交換した方が安上がりかもしれない。ヘッドライトのバルブ切れなどの場合も同様だ。
ただしバッテリー上がりの原因がオルタネーター(発電機)にある場合は例外だ。交換すると国産車でも10数万円かかる。新品交換後に加算される査定額は4万円が上限なので、交換すると元が取れない。買取店にレッカー移動してもらう方が結果的に損失は少ないだろう。
・何らかのチェックランプが点いている場合
メーター内のインジケーターに、エンジンその他の不調を知らせるチェックランプが点灯。すぐにエンジンが停止してしまうようなケースは少ないが、通常はすぐに修理するのがセオリーだ。ちなみに2017年から、エンジンやブレーキ関係のチェックランプが点灯していると車検に通らなくなった。
ただし、売却前にチェックランプ点灯が発覚した場合は、慎重に対処法を考えるべきだ。修理せずに売却した方がトクなケースもあるが、買取店も「どこが壊れているか分からない」状態では、高い査定額を付けられない。
チェックランプが点いている場合は、予め修理工場でどこか壊れているかを特定。見積書を出してもらった上で、安価で直るなら修理して売却、高額ならそのまま売却と、状況に応じて判断するのが良い。
この場合も売却先は一括査定でOKだ。
・エンジンが壊れていて動かない場合
エンジンが掛からない、走行に関わる部品が壊れていて走れない場合、まず申込時に不動車であることを伝えて一括査定を依頼。査定額が極端に低い、あるいはゼロと言われたら、故障車・事故車専門の買取店に査定を依頼するのがオススメだ。
どちらも営業所までレッカーで運ぶことになるが、故障車・事故車専門の買取店の中には「レッカー代無料」の店舗もある。査定額だけでなく、レッカー代も含めて、どちらがトクかを判断しよう。
故障していることは申し出る義務がある
ここまで読んで「申込時や査定時に言わなければ、故障がバレずに高額売却できるのでは?」と考えた人もいるかもしれない。だが、それは最もNGだ。
車に限らず、物を売買する時には、売る側に「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」が生じる。売買する物に欠陥がある場合、それを買う側に伝えなくてはならない。知らせずに契約したら契約解除、または損害賠償を買う側は請求ができる。つまり、故障を申告せずに売却すると、後に大きなトラブルに発展する可能性があるのだ。
故障していても売却できるし、多くのケースでは査定額のマイナスもさほど大きくない。トラブルを起こさないためにも、故障は必ず申し出よう。