絶滅危惧車の初代Cクラスは、確かにコストカットを行った……。それでもメルセデス・ベンツらしさを失うことはなかった
2019/08/25

これぞドイツ車! 圧倒的な高速安定性能を誇っていた
1993年、メルセデス・ベンツのエントリーモデルであった190Eの後継車として投入されたのが、初代Cクラスだった。
コンパクトセダンはCクラス、ミディアムセダンはEクラス、フルサイズセダンはSクラスと分かりやすいラインナップ構成となった。
この頃から、メルセデス・ベンツはラインナップの整理・拡充を図るとともに、“バリュー”というものを考慮するようになったように感じる。
おそらく、日本車勢による高級車セグメントへの食い込みへの対抗策という意味合いも込められていたのだろう。
Cクラスは、同時期のSクラスを二回りコンパクトにした雰囲気。
新車時価格は390万~620万円で、先代モデルにあたる190Eとほぼ一緒。
一般的にはフルモデルチェンジとともに、新車時価格も徐々に値上がりしていた時代だから、割安感が漂っていた。

当時のメルセデス・ベンツ最安モデルとはいえ、妥協はなかった。
フロントサスペンションにはダブルウィッシュボーンが奢られ、リアサスペンションはマルチリンク式を採用。
ストローク量が大きく路面の凹凸をしっかり吸収しながらも、フワフワしていない乗り味が多くの人を感心させたものだ。
圧倒的にすごかったのは高速安定性。こればかりは、当時の日本車にはなかなか追いつけない分野だったと言わざるを得ない。
安全性能も当時としては世界最高峰レベルで、運転席/助手席エアバッグ、側面衝突の安全性を確保するサイドインパクトバー、ABSなどは当時としては珍しく標準装備していた。
「内装におけるプラスチック使用量が増えた!」「ドアの開閉音から重厚感がなくなった!」などの批判する声が、一部では聞かれた。
だが、いずれもリサイクルや軽量化といった環境性能向上のための選択だったと思う。
もちろん、コストカットという側面もあろうが、会社として存続していくために利益を追求するのは当然のことだろう。

当時のメルセデス・ベンツらしい“モワッとした”走り
そして今あらためて乗ってみると、昨今のCクラスとはまったく異なる味付けであることに気づかされる。
メルセデス・ベンツは高級車ブランドとして確固たる地位を得たものの、当時は若者へのアピールが足りないことを自認していた。
だからこそ、Cクラスでは頑張った……つもりだった。
軽快感やスポーティ感を与えようと頑張ったはずだったのだが、大げさにいえばSクラスとさほど変わらない乗り味に仕上がっていた。
2速発進する様は、一瞬モワッとした静寂の中にトルクで押し出されるような独特なもの。
アクセルペダルと車の動きは、決してリニアに連動していない。それが、当時のメルセデス・ベンツ車っぽくもあった。
エンジンバリエーションは豊富で、2L 直4から2.8L V6までラインナップされていた。
個人的には後期モデルの2.4Lエンジンを搭載した、V6エンジン搭載車のバランスの良さが印象に強く残っている。
絶版となってから19年が経過した今、原稿執筆時点(2019年8月23日)でわずか15台しかカーセンサーnetに掲載されていない。
おおむね100万円以内で収まる中古車相場ではあるが、新しめのCクラスと同等、もしくは高値で流通している。
現存台数が少なくなっていることから、希少性が価格を押し上げているのだろう。と同時に、ネオクラシックとしての魅力が見いだされ始めたのかもしれない。
当時はずいぶん丸みを帯びたデザインになったと思ったものだが、今となってみれば直線基調でノスタルジック。差別化を図りやすい車ともいえるだろう。
ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!

▼検索条件
メルセデス・ベンツ Cクラス(初代)×全国
自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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