THE!対決

PART4 ハイブリッドカーとして優れているのは?

ホンダ インサイト
ホンダ インサイト フロント|THE!対決
↑オプション装備のHDDインターナビを装着すれば、エコ運転度採点履歴や燃費向上アドバイスなどのエコ情報がよりわかりやすく得られる。また、ECONスイッチをオンにすることで、アイドルストップ時間の延長やエアコンの省エネ制御など、燃費を優先するECONモードに切り替わる
ホンダ インサイト エンジン|THE!対決 ホンダ インサイト エコ運転度採点履歴|THE!対決 ホンダ インサイト ECONスイッチ|THE!対決
トヨタ プリウス
トヨタ プリウス フロント|THE!対決
↑7インチワイドディスプレイに表示されるエネルギーモニターでは、エンジンやバッテリー、モーターなどの状況がリアルタイムかつグラフィカルに表示され、エコドライブの手助けに。軽い力でシフトチェンジが可能なエレクトロシフトマチックの小型レバーが、特別な車感を演出する
トヨタ プリウス エンジン|THE!対決 トヨタ プリウス エネルギーモニター|THE!対決 トヨタ プリウス シフトセレクター|THE!対決

ショールームに足を運ばせる“呼び水”となったインサイト

1万点以上、他車との部品の共用化を実行するなどコストダウンを徹底し、189万円と意欲的な価格設定で登場した2代目インサイト。立ち上がりの評判は上々だったようで、インサイト以外のユーザーもショールームに足を運ばせた“呼び水”の役目も果たしたようだ。何しろ世界的に暗い話題ばかりの目下の自動車業界だから、そうしたイイ話は耳に入ってきてもホッとさせられる。

他方で、5月になれば新型プリウスが正式に登場する。すでに発売前の段階で新型プリウスは予約受注が(受注開始1週間で)1万台を超えたとか。インサイト潰しなどといわれ、従来型も併売するという戦略も過激だが、ハイブリッド車のパイオニアだから、次の車の実力も気になる。

過日にリポーターも次期型のプロトタイプに試乗する機会があったが、現行型プリウスとは燃費、走行性能、スタイルなど、あらゆる面が進化したのを実感したのは確か。だが同時に、だからといって現行プリウスが極端に色あせて見えるわけでもないのはすでに触れたが、唯一無二の、プリウスならではの完成度の高さを物語っている。その意味では、現行型プリウスのオーナーは、たとえ新型に触れても、大きく落胆することはないと思う。

そんなタイミングだが、新型インサイトは当然ながら現行プリウスをターゲットにして開発されたはずだから、今回はインサイトと現行プリウスを、今の段階で対決させてみた。そして今回の検証で実感したことは、インサイトとプリウスはやはり“似て非なる車だ”ということだった。

「エコロジー」なプリウスと「エコノミー」なインサイト

「エコ」と表現できる要素には「エコロジー」と「エコノミー」があるとすれば、より「エコロジー」なのは、やはりプリウスのほうだ。とくに条件が揃えばモーター駆動のみでエンジンに火を入れずに発進できることは、エコロジーなスタイルを意識するユーザーの感性を刺激する。

一方でインサイトは、2シーターだった先代とは打って変わり、実用的な4ドアボディを得て、とても手頃でエコノミーな車の姿を実現してみせた。そのうえでハイブリッド車専用メイクという点で、同門のシビックハイブリッド以上のプレゼンスも発揮している。

ミニバンほどの使い勝手は必要としないが、扱いやすく、価格も維持費も手頃なセダンならウェルカム…そんな考えのユーザーの琴線に響く車であることは間違いない。アイドリングストップを取り入れている点も、エコノミー感覚が実感できるスペックの一つだ。

出鼻をくじこうなどと毛頭思わないが、インサイトは、この車を突破口にホンダが得意分野とするコンパクトカー、スポーツカーの新しい姿が今後実現される、その先兵となれば…と、今後に期待したい。プリウスはプリウスで、よりスペックを磨き込んだ新型の登場が間近だが、ハイブリッド車のイメージリーダーとしての実力、世界観は、今後もブレずに作り上げられていくのだろう。
今回のまとめ
インサイトの実力、経済性に一定以上の理解を示しつつも、今回は一歩先にハイブリッド車としての世界観を構築したプリウスの“功績”を評価しておきたい。
今回のテスト車両
ホンダ インサイト フロント|THE!対決
ホンダ インサイト リア|THE!対決
ホンダ インサイト インパネ|THE!対決          
ホンダ インサイト
テスト車両 L
205.0万円
駆動方式 2WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 4390×1695×1425
ホイールベース(mm) 2550
車両重量(kg) 1190
最小回転半径(m) 5.0
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4SOHC+モーター
総排気量(cc) 1339
最高出力
[kW(ps)/rpm]
65(88)/5800
+10(14)/1500
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
121(12.3)/4500
+78(8.0)/1000
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 40L
10・15モード燃費
(km/L)
30.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
18.2
タイヤサイズ 175/65R15
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
トヨタ プリウス フロント|THE!対決
トヨタ プリウス リア|THE!対決
トヨタ プリウス インパネ|THE!対決
トヨタ プリウス
テスト車両 S
227.0万円
駆動方式 2WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 4445×1725×1490
ホイールベース(mm) 2700
車両重量(kg) 1260
最小回転半径(m) 5.1
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC+モーター
総排気量(cc) 1496
最高出力
[kW(ps)/rpm]
56(76)/5000
+50(68)/1200-1540
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
110(11.2)/4000
+400(40.8)0-1200
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 45L
10・15モード燃費
(km/L)
35.5
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
19.9
タイヤサイズ 185/65R15
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
Report/島崎七生人 Photo/小林岳夫